[Vol.1836] 世界分裂は「資源の武器利用」のきっかけ

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。70.35ドル/バレル近辺で推移。

金反発。中東情勢のリスク増幅などで。2,766.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は18,045元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年12月限は544.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1718.95ドル(前日比0.55ドル拡大)、円建てで8,460円(前日比11円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月23日 19時12分時点 6番限)
13,545円/g
白金 5,085円/g
ゴム 387.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,000円/mmBtu(24年12月限 10月15日17時54分時点)

●NY銅先物(期近) 月足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 月足  単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「世界分裂は『資源の武器利用』のきっかけ」
前回は、「西側、非西側、スタンスなしで世界は分裂」として、世界分断・分裂の過程(筆者イメージ)を確認しました。

今回は、「世界分裂は『資源の武器利用』のきっかけ」として、分断・分裂がもたらすコモディティ(国際商品)マーケットへの影響を確認します。

世界分裂・分断は、戦争や資源国の出し渋りの直接的なきっかけになり得ます。そして戦争や資源国の出し渋りは、コモディティ(国際商品)価格を上昇させるきっかけになります。以下の図は、これらの流れを示しています。

世界で分断・分裂が目立つことで、「自国第一主義」が目立ちやすくなります。そうすると、自国の「食やエネルギーの安全保障」を訴える国が増えやすくなります。その結果、資源を武器として利用する国が増えやすくなります。

こうした主要な生産国による「資源の武器利用」は、コモディティ(国際商品)の需給を引き締める大きな要因になっています。

武器利用の原因である分断・分裂が、2010年以降の世界規模の大きな潮流の中で起きたことを考えると、早期に武器利用をやめさせることは困難だと言わざるを得ません。それはすなわち、各種コモディティ(国際商品)市場に、強い上昇圧力がかかり続けることを意味します。

図:分断・分裂がもたらすコモディティ(国際商品)マーケットへの影響
図:分断・分裂がもたらすコモディティ(国際商品)マーケットへの影響
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。