週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.25ドル高の71.77ドル、ブレント原油は1.97ドル高の75.13ドルとなった。

 前週末の海外原油は、イランがイスラエルに対する再報復を準備していると報じられ、地政学的リスクが相場を支えていたが、10月米雇用統計が予想外に弱い内容となったことから大きく値を削る動きとなった。

 先週は、OPECプラスが自主減産の縮小開始を12月から1月に延期したことら反発して始った。翌5日も、ハリケーン『ラファエル』が米石油施設に接近していることから続伸。その後は、トランプ氏の当選が確実視されていく中で、イスラエルへの軍事支援を継続する姿勢は地政学リスクを意識させた他、米景気回復による需要増加期待が相場を支えた。一方で、米国内の石油増産を推進する政策は上値を抑える要因となり、方向感を探る展開となっている。

NY原油チャートみんかぶ
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 先週のブレント原油市場はトランプトレードの中、ドル高で本来下がるはずがこの時期に珍しいハリケーンが発生し、メキシコ湾に侵入したことから下値では買われた。しかし、その後ハリケーンが進路を変えテキサス方面からユカタン半島に向かったことから被害と生産量の減少が限定的だとの解釈から上値は重く、中東地域での大きな騒乱がなければさらに上値は圧迫されることも想定しておきたい。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。