[Vol.1867] 「掘りまくれ!」でも高止まりの可能性あり

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。68.16ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,666.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は19,030元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年01月限は526.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1723.35ドル(前日比16.55ドル拡大)、円建てで8,299円(前日比73円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月6日 17時52分時点 6番限)
12,844円/g
白金 4,545円/g
ゴム 378.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,252円/mmBtu(25年3月限 11月19日17時18分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『掘りまくれ!』でも高止まりの可能性あり」
前回は、「パーミアンも継続的な生産増加は困難?」として、米シェール主要地区の待機井戸の数を確認しました。

今回は、「『掘りまくれ!』でも高止まりの可能性あり」として、足元の原油市場を取り巻く環境(2024年11月)を確認します。

ここまでの数回で、米国のシェール主要地区に関わる複数のデータを確認しながら、そもそもトランプ氏が述べる「掘って、掘って、掘りまくれ!」は可能なのか、もし可能であれば、原油相場にどれほどのインパクトをもたらすのか、について考察をしてきました。

主要生産地域だったバッケンとイーグル・フォードは、「さびれたシェール地区」状態であるため、しばらくは生産回復が難しい、現在の最主要生産地域であるパーミアンは、生産を迅速に増やすために必要な待機井戸数が低水準であり、かつ掘削済井戸数のさらなる増加には原油相場が大幅に上昇する必要がありそう、などの事柄を考慮すれば、米シェールの大幅な生産増加は難しいかもしれない、という考察結果となりました。

また、米国のシェールの動向は、原油市場を分析する上での一つの要素に過ぎないことを、改めて確認する必要があります。以下のとおり、産油国からの供給減少件もあれば、中国の景気減速懸念も、原油市場に影響を及ぼしています。

まだしばらく、原油相場は長期視点の高止まりが続くと、筆者は考えています。「掘りまくれ!」のイメージを優先しすぎず、できるだけ広範囲の材料を認識し、時間軸ごとに複数の材料を分けて、向き合うことが必要です。

図:足元の原油市場を取り巻く環境(2024年11月)
図:足元の原油市場を取り巻く環境(2024年11月)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。