[Vol.1873] 2024年も「高止まり」だった原油相場

著者:吉田 哲
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原油反落。米国の主要株価指数の反落などで。70.27ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,676.41ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は18,480元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年02月限は546.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1748.26ドル(前日比3.24ドル縮小)、円建てで8,625円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月16日 17時43分時点 6番限)
13,187円/g
白金 4,562円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,884円/mmBtu(25年4月限 12月16日17時11分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「2024年も『高止まり』だった原油相場」
前回は、「情報の発信・受信者が居るべき『ゾーン』」として、人の「二つのゾーン」を確認しました。

今回は、「2024年も『高止まり』だった原油相場」として、原油市場を取り巻く環境(2024年後半~)を確認します。

2024年のWTI原油相場は、高値こそ2023年の90ドル台に届かなかったものの、数年にわたって続いている80ドルを挟んだプラスマイナス15ドル程度のレンジ内に収まっています(12月16日時点)。

この場合のレンジの下限は2021年12月以降の安値水準である65ドルで、上限は2022年後半以降の高値水準である95ドルです。

そもそもこのレンジの水準は、長期視点で見れば「高い」と言えます。2000年代前半に付けていた30ドル台や2015年ごろの40ドル台に比べると、はるかに高いためです。この意味では、この数年間の原油相場は「長期視点の高止まり」状態にあると言えます。世界で蔓延するインフレがなかなかなくならないのはこのためです。

レンジ相場とは、相場が上昇圧力によって形成された下限と、下落圧力によって形成された上限の間で推移している状態のことです。つまりこの数年間の原油相場は、高い水準で上昇圧力と下落圧力に挟まれ続けているのです。

2025年の原油相場を展望する上で必要なことは、現在の上昇圧力と下落圧力が何であるかを明らかにすること、そしてそれらの圧力がどう変化するのかを展望することであると言えます。筆者が考える上下の圧力は、以下のとおりです。

下限を形成する上昇圧力は「産油国での戦争」「OPECプラス(石油輸出国機構12カ国と非加盟の産油国10カ国で構成)の生産動向」「トランプ政権への思惑」「米国の金融政策」など、上限を形成する下落圧力は「OPECプラスの生産動向」「トランプ政権への思惑」「中国悲観論」などです。

図:原油市場を取り巻く環境(2024年後半~)
図:原油市場を取り巻く環境(2024年後半~)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。