[Vol.1872] 情報の発信・受信者が居るべき「ゾーン」

著者:吉田 哲
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原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。70.16ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,704.41ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は18,525元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年01月限は546.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1762.71ドル(前日比5.99ドル縮小)、円建てで8,653円(前日比15円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月13日 17時25分時点 6番限)
13,270円/g
白金 4,617円/g
ゴム 367.4円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,115円/mmBtu(25年3月限 12月09日17時43分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「情報の発信・受信者が居るべき『ゾーン』」
前回は、「金(ゴールド)と原油市場の実態に迫る」として、足元の金(ゴールド)市場を取り巻く環境(2024年12月時点)を確認しました。

今回は、「情報の発信・受信者が居るべき『ゾーン』」として、人の「二つのゾーン」を確認します。

今どきの金(ゴールド)も原油も、「分かりやすいから」という理由で、過去にできた「共通認識」や「願い」だけを頼りに分析をすることができません。多少煩雑でもこの数回で述べた複数のテーマを同時に確認しなければなりません。その際に役立つ考え方が、「二つのゾーン」です。

コンフォートゾーンとは、安全・安心を重んじ、低リスク・リターンで少し退屈、安全と制御への誤解をはらむ安心・退屈な状態と、他人に気を取られ、言い訳・弁解をし、自尊心が低く、間違いを気にする依存・低信頼の状態です。

ラーニングゾーンとは、挑戦して問題を解決し、過ちを認め、新しいスキルを獲得し、高い自尊心を持つ自立・高信頼の状態、さらには、夢を謳歌(おうか)して高揚感に浸り、目的と意義を発見し、新しいゴールの設定する誰・何にも制限されない状態です。

この数回のテーマであった「有事の金(ゴールド)を偏向報道にしない方法」とは、情報の発信者、受信者が、共にラーニング(学習)ゾーンに移行することです。こうすることで、双方が全体観を優先する環境ができ、共通認識や願いに頼る機会が減り、やがて実態に則した情報が流通するようになると、考えられます。

もしかしたら、情報の発信者、受信者の中には、分かりやすさを優先できるこれまでの状態がよい、と考える方もおられると思います。

しかし、有事や株価乱高下でも金(ゴールド)相場が下がるケースがあること、トランプ氏が米大統領選挙で勝利しても原油相場が高止まりしたままであることを考えれば、これまでの状態はすでに限界に達していると考えるべきではないでしょうか。

コンフォートゾーンからラーニングゾーンに移行するための手段については、世界中でさまざまな研究がなされていますが、筆者が最も効果があると考える手段は、読書と料理をすること、スマートフォンではなくパソコンを重用すること、パソコンデスクの横に世界地図を置くこと、そして静かな環境で一人になる時間を設けることです。

投資や資産形成のためだけでなく、生きる術(すべ)を拡張する意味でも、ぜひ継続的に、上記の手段を試してみてはいかがでしょうか。

図:人の「二つのゾーン」
図:人の「二つのゾーン」
出所:各種資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。