[Vol.1891] きらびやかさ、耐え忍ぶ力強い動きは続く

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.84ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,730.14ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は17,560元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年03月限は633.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1776.54ドル(前日比4.24ドル拡大)、円建てで8,944円(前日比13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月16日 17時22分時点 6番限)
13,621円/g
白金 4,677円/g
ゴム 385.7円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「きらびやかさ、耐え忍ぶ力強い動きは続く」
前回は、「猫と金(ゴールド)、犬とプラチナの共通点」として、猫と金(ゴールド)に共通するキーワード(一例)を確認しました。

今回は、「きらびやかさ、耐え忍ぶ力強い動きは続く」として、金(ゴールド)とプラチナ価格の推移を確認します。

金(ゴールド)相場は2000年以降、何度も歴史的高値を塗り替えてきました。米国の主要な株価指数と同様、大変にきらびやかな存在です。

近年は、短中期的には有事ムード(不安拡大時の資金の逃避先需要拡大)、代替資産(株の代わり)、代替通貨(ドルの代わり)、中長期的には中央銀行、超長期的には見えないジレンマといった、複数のテーマ起因の上下の圧力を受けながら、株と同時に上下したり、ドルと同時に上下したりする気まぐれな値動きを演じつつ、上値を切り上げています。

金(ゴールド)は個人の投資家、個人の消費者、そして中央銀行など、幅広い市場関係者を魅了し、愛され、今の価格帯まで上昇してきました。多くの人に愛される猫のようなきらびやかで気まぐれな値動きは、今後も続く可能性があります。

プラチナ価格は2015年ごろ以降、低位で安定しています。ドイツの自動車大手であるフォルクスワーゲン社の不正が発覚してディーゼル車への批判が強まり、同車に用いられている自動車排ガス浄化装置向けのプラチナ需要が急減すると目されたためです。今もなお、こうしたムードは続いています。

しかしようやく、この状態から脱する糸口が見え始めました。同需要は2021年から増加傾向が鮮明になっており、2025年にはほぼ不正発覚時の水準に達することが予想されています。(WPICの統計より)

加えて、FCV(燃料電池車)やグリーン水素の生成装置向けといった、環境関連の新しい需要が徐々に増え始めています。すぐに急増する需要ではないものの、今後長い年月をかけて、少しずつ増加していくことが予想されています。

多くの人に愛される犬のような、低位であっても安定し、長期視点の価格反発を目指して耐え忍ぶ力強い値動きは今後も続く可能性があります。

図:金(ゴールド)とプラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス
図:金(ゴールド)とプラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス
出所:世界銀行のデータより筆者作成 イラストはPIXTA

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。