週刊石油展望

著者:児玉 圭太
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比2.57ドル安の69.73ドル、ブレント原油は2.85ドル安の73.44ドルとなった。

 前週末の海外原油は、米経済指標が予想を下回る内容だったことから景気減速への警戒感から、株安進行などリスクオフの動きとなり週の上げ幅を削る動きとなった。

 先週は、欧米の経済指標悪化を受けた景気減速懸念のほか、ウクライナ停戦交渉の進展を期待した売りが上値を圧迫しレンジを下抜ける格好となった。

 週明けは、前週の流れから一時70ドルを割り込むも、米政府がイラン産原油の販売、輸送に関する企業や個人に新たな制裁を科すと表明したことから買戻しの動きとなり反発。しかし25日、トランプ大統領がカナダとメキシコへの関税を予定通り3月4日に発動すると述べたことが重しとなったほか、米国やドイツの経済指標の悪化を受けて景気後退懸念から終値ベースで70ドルを割り込んだ。26日も、ウクライナ停戦交渉が進展するとの期待が上値を圧迫したほか、EIA統計で製品在庫が予想に反して積み増しとなったことから続落。27日は、トランプ大統領が米石油大手シェブロンがベネズエラで事業を行うための許可を取り消すと表明したころから供給混乱への警戒感から値を戻した。東京週末現在、WTI4月限は70ドル近辺で取引されている。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は、戻り売り基調の展開を予想。3月4日からメキシコとカナダの輸入品に対して25%、中国に対しても10%の追加関税が発動される。欧州に対しては時期は未定ながら25%の関税を課すといった報道も見られ、トランプ大統領による関税政策が景気見通しの不安定感や需要の減退懸念となっており継続して重しとなりそう。イランやベネズエラ、ロシア産原油の供給混乱懸念、OPECプラスの減産枠の縮小延期観測は支えとなるか。3月5日から開催される中国全人代での景気刺激策に注目が集まるが、それまでは切り下がったレンジでの取引となりそう。

 

 

商品取引ならOKACHI

このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。