[Vol.2200] 湾岸産油国の原油生産減少リスクも大きい

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。88.51ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,780.06ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は17,275元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年06月限は626.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2698.71ドル(前日比24.61ドル拡大)、円建てで14,640円(前日比33円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月22日 14時02分時点 6番限)
25,101円/g
白金 10,461円/g
ゴム 393.6円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「湾岸産油国の原油生産減少リスクも大きい」
前回は、「中東産原油の多くが域内を出られない」と題して、主要な海上の要衝を通過したタンカーの数(21日間平均)を、確認しました。

今回は、「湾岸産油国の原油生産減少リスクも大きい」と題して、主要産油国の原油生産量を、確認します。

2026年3月の世界全体の原油生産量は前月比、約10%、減少しました(ブルームバーグのデータより)。ペルシャ湾(アラビア海)沿岸の産油国での生産減少が目立ちました。

米国・イスラエルによるイランの石油関連施設への攻撃、イランによる湾岸産油国の石油関連施設への報復攻撃による原油生産量の減少、貯蔵(陸・洋上問わず)できる量に限りがあるため、輸出できなければ生産しないという判断による原油生産量の減少が同時進行していると、考えられます。

カザフスタン(中央アジア・OPECプラス諸国)、アンゴラ(西アフリカ・旧OPEC諸国)、ベネズエラ(南米・OPECプラス諸国・米国の支配下で原油生産が行われているもよう)、ナイジェリア(西アフリカ・OPECプラス諸国)などで日量20万から80万バレル、4カ国合計で約230万バレル、原油生産量が増加しましたが、湾岸産油国の減少分を補うことはできませんでした。

※OPECプラス…石油輸出国機構(OPEC)に加盟する12カ国、ロシアやカザフスタンなどの非加盟の11カ国で構成。原油の生産シェアはおよそ60%。

以下のグラフは、主要な湾岸産油国の原油生産量を示しています。2026年3月と2月を比べると、サウジアラビアは21%減、イラクが54%減、アラブ首長国連邦(UAE)が44%減、クウェートが44%減でした。ホルムズ海峡を実効支配しているイランは6%減にとどまりました。

国内主要メディアが報じているとおり、国際エネルギー機関(IEA)の事務局長は、今回の供給減少を「史上最大の混乱」であると述べています。また、同事務局長は、破壊された中東地域の石油・天然ガスなどの関連施設の復旧には「最長で2年かかる」との見方を示しています。

以前の「[Vol.2198] 『ホルムズ海峡リスク』は日常的リスクへ」で詳細を述べた「ホルムズ海峡リスク」だけでなく、中東地域の石油関連施設が復旧するまでに相当の年月がかかることも、長期視点の思惑を強めているといえます。

図:主要産油国の原油生産量 単位:千バレル/日量
図:主要産油国の原油生産量 単位:千バレル/日量
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。