[Vol.1923] 国内だけでなく海外の材料も影響を及ぼす

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。67.97ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,925.76ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は17,375元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年04月限は518.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1946.46ドル(前日比2.24ドル縮小)、円建てで9,601円(前日比151円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月5日 大引け時点 6番限)
14,149円/g
白金 4,548円/g
ゴム 354.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,119円/mmBtu(25年5月限 2月28日18時23分時点)

●NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「国内だけでなく海外の材料も影響を及ぼす」
前回は、「優等生すら価格上昇に追い込まれている」として、東京都区部の生鮮食品などの価格変動率を確認しました。

今回は、「国内だけでなく海外の材料も影響を及ぼす」として、食品の小売価格が決まるまでの流れを確認します。

国内産の野菜、海外由来の食品、そして物価の優等生まで、幅広く、食品価格が上昇しています。つまりそれは、日本国内で天候不順が目立った、鳥インフルエンザがまん延した、などの局所的な材料がありつつも、それと同時に、全体的な大きな流れの影響を受けていることを示唆しています。

優等生たちが上昇し始めたタイミングが2022年からだったことが、全体の大きな流れを考える際のヒントです。以下は、食品の小売価格が決まるまでの流れを示しています。食品の小売価格は、日本国内の天候や病害、インバウンド、政策や税金などの影響を受けていますが、それはあくまでも日本国内の要因です。食品の小売価格はこれだけで決まることは、ほぼありません。

国内の食品小売価格は、海外の農産物の価格の影響を受けています。もちろん、電力価格に直結する天然ガスの価格や、原材料コスト(容器の素材に使われるプラスチックなど)、輸送や機械の燃料に使われる原油の価格の影響も、強く受けています。輸入価格には為替(ドル/円)も影響しています。

仮に、日本国内で種まきから収穫までを完結できる品目であったとしても、生育に必要な作業をする際に発生する電力や輸送の際の燃料のコストがかかるため、エネルギー価格の変動による影響はゼロになることはないでしょう。エネルギーの価格動向はそれだけ、日本の生鮮食品価格に強く影響しているのです。

図:食品の小売価格が決まるまでの流れ
図:食品の小売価格が決まるまでの流れ
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。