[Vol.1924] 根底には根強いエネルギー相場の高止まり

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。66.35ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,912.64ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は17,565元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年04月限は509.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1942.39ドル(前日比8.81ドル縮小)、円建てで9,424円(前日比97円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月6日 17時24分時点 6番限)
13,962円/g
白金 4,538円/g
ゴム 353.5円/kg
とうもろこし -円/t
(まだ出来ず)LNG 2,119円/mmBtu(25年5月限 2月28日18時23分時点)

●NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「根底には根強いエネルギー相場の高止まり」
前回は、「国内だけでなく海外の材料も影響を及ぼす」として、食品の小売価格が決まるまでの流れを確認しました。

今回は、「根底には根強いエネルギー相場の高止まり」として、日本の原油および天然ガス輸入単価とWTI原油価格を確認します。

エネルギー価格の国際指標の一つである、WTI(主に米テキサス州西部で生産され、東に隣接するオクラホマ州に集積される原油。ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の価格は、以下の通り、日本の原油と天然ガスの輸入単価とおおむね、連動しています。

原油相場は2022年の年末以降、80ドルを挟んだプラスマイナス15ドルの範囲(65~95ドルのレンジ)で推移しています。2015年や2020年の水準である30~40ドル程度に比べれば、80ドルプラスマイナス15ドルの水準は、2倍から3倍程度高いため、この数年間の原油相場は長期視点の高止まりが続いている、と言えます。

確かに2022年2月のウクライナ戦争勃発直後の120ドル近辺に比べれば安くなっているものの、長期視点で見ればやはり、高止まりなのです。

原油は、電力や輸送、燃料などのコストを通じ、生鮮食品の価格動向に影響を及ぼしています。引いてはCPI(消費者物価指数)全体にも、影響を及ぼしています。このことは、日本だけでなく、米国でも同様です。以下の通り、米国のCPIの実数値が近年高止まりしているのは、原油相場が高止まりしている影響が非常に大きいといえます。

図:日本の原油および天然ガス輸入単価とWTI原油価格 1999年を100として指数化
図:日本の原油および天然ガス輸入単価とWTI原油価格 1999年を100として指数化
出所:財務省および世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。