[Vol.1979] 日本人のコメと小麦の消費動向

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。60.98ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,343.01ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年09月限は13,805元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年07月限は453.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2252.46ドル(前日比3.46ドル拡大)、円建てで10,722円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月28日 17時24分時点 6番限)
15,479円/g
白金 4,757円/g
ゴム 317.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●シカゴ小麦先物 月足  単位:ドル/ブッシェル

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「日本人のコメと小麦の消費動向」
前回は、「50年続いた減反政策」として、日本のコメと麦類の作付面積を確認しました。

今回は、「日本人のコメと小麦の消費動向」として、日本のコメと麦類における一人に対する供給量(一日当たり)を確認します。

前回述べた1954年ごろから始まったMSA協定による麦類の輸入増加と、1970年ごろから始まった減反政策によるコメの作付面積減少を考慮し、国民一人に対する一日当たりの供給量を試算しました。

期初在庫と生産量(収穫面積×単位当たりの収量)と輸入量を足し合わせた量をその年の総供給量とし、その値をその時の人口と年間の日数で除して試算しました。

コメの一人に対する供給量は1960年代、過剰感がありました(現在のおよそ2倍)。1970年ごろから減反政策が本格化したことを受けて作付面積が減少し、1990年代にかけて減少しました。

一方、麦類の一人に対する供給量は、MSA協定をきっかけに1960年ごろから米国からの輸入が増加したこと受けて、1990年代にかけて増加しました。

1990年代になると、コメと小麦の一人に対する供給量はほとんど変わらなくなりました。コメは作付面積が減少しつつも、単位当たりの収量が増加し続けているため、供給量は減少することなく、一定の水準を維持しています。

小麦はコメと同様に、おおむね同じ水準を維持しています。現代社会における日本人の食文化が固定化したタイミングが1990年代だったことがうかがえます。

日本で一人がコメと麦類から摂取するカロリー(一日当たり)の値(筆者推計)を確認します。食文化や労働環境を含む社会全体が大きく変化する中、一人がコメと麦類から摂取するカロリーは1980年ごろから1990年代後半にかけて低下しました。

2000年代に入り、麦類から摂取するカロリーは、コメから摂取するカロリーを上回っていると、筆者はみています。

麦類が、1990年代から日本人の食を支える重要な食材として定着したことや、2000年代から麦類がコメよりもカロリー摂取に貢献しているとみられることは、長期視点で、コメの需要が増加しにくくなったことを示唆しています。

麦類を重用する文化が定着したことで、コメの作付面積を増加させる動機が強まりにくくなっていると考えられます。このため、足元のコメ価格を下げるために、作付面積を増やす、という議論は起きにくいと言えます。

図:日本のコメと麦類における一人に対する供給量(一日当たり) 単位:グラム

出所:米国農務省および、国際連合のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。