[Vol.1980] 食品全体で価格高が発生

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。62.78ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,295.96ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年09月限は13,940元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年07月限は467.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2218.36ドル(前日比26.34ドル縮小)、円建てで10,662円(前日比65円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月29日 15時01分時点 6番限)
15,459円/g
白金 4,797円/g
ゴム 316.1円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●シカゴ小麦先物 月足  単位:ドル/ブッシェル

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「食品全体で価格高が発生」
前回は、「日本人のコメと小麦の消費動向」として、日本のコメと麦類における一人に対する供給量(一日当たり)を確認しました。

今回は、「食品全体で価格高が発生」として、東京都区部の主要食品価格の変動率を確認します。

以下の表は、2019年と2025年の主要な食品の価格変動を示しています。「[Vol.1977] コメの小売価格が1年間で2倍に」で述べたとおり、このおよそ1年間の変動率ではコメが突出して上昇していましたが、さらに長期視点で見ると、ほとんどの品目の価格が上昇していることが分かります。

チョコレートは当時の3倍以上、コメは2倍以上、オレンジジュースなどの果樹飲料やはくさいは2倍弱、コーヒー豆は約1.7倍、物価の優等生と言われた鶏卵は約1.3倍、砂糖、食用油は鶏卵と同等の上昇を演じています。コメだけでなく、食品全体で、価格上昇が起きているのです。

また、食品などの各種小売価格が決まるまでの過程を確認すると、電力や包装材、輸送に関わるコストついては、海外の原油価格が深く関わっています。2019年から足元にかけて起きている食品価格の全体的な上昇もまた、原油価格の「長期視点(短期視点ではない)」の高止まりの影響を受けていると言えます。

どうすればコメの小売価格が下がるのか、日本政府は頭を悩ませ、備蓄米の放出ルールを調整したり、流通の目詰まりをなく対策を講じたりしていますが、いずれも一時的に症状を和らげる対症療法の域を超えません。本格的な価格低下を望むのであれば、原油価格を下げるための働きかけが欠かせないでしょう。

図:東京都区部の主要食品価格の変動率 2019年4月と2025年4月を比較

出所:総務省統計局のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。