週刊石油展望

　先週末のWTI原油は前週比8.39ドル高の71.50ドル、ブレント原油は7.74ドル高の72.85ドルとなった。

　前週末の海外原油は好調な米雇用統計の結果を受けて石油需要の増加期待が高まったことが好感されたほか、2回目の米中閣僚級会議が行われることへの期待感が支援材料となり堅調な推移となった。

　先週は米通貿易交渉への期待や中東の地政学リスクが意識される中で堅調な推移となると、週末にイスラエルがイランに空爆したと伝わったことから急騰する格好となった。週明けは2回目の米中貿易交渉が行われる中で景気後退懸念が緩和したほか、イラン核協議の停滞で地政学リスクが高まっていることが支援材料となり堅調な推移となりました。翌10日はやや戻り売りに押されたが、米中貿易協議の内容を見極めたいとの思惑から様子見姿勢が強まると、横ばいでの推移となった。翌11日はイラン核交渉への先行き不透明感が強まる中、交渉が決裂し紛争が発生すれば、イランが中東地域の米軍基地を攻撃する可能性があると伝わり、トランプ大統領が中東に駐在する米職員を移動させていると報じられたことが支援材料となった。週末にかけては前日の上昇を受けて戻り売り優勢となったが、東京時間にイスラエルがイラン各地の核関連施設を含む数十か所に攻撃を加えたと伝わったことで地政学リスクが意識され急騰する動きとなった。


出所：みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

　今週の原油相場はイスラエルによる攻撃によりイランの将官や原子力関連の科学者らが死亡したと伝わっており、イランによる報復は必至とみられる中で引き続き底堅い推移が想定されそうだ。12日までにトランプ大統領が大規模な衝突が起 こる可能性があると指摘し、隣国イラクの米大使館職員に国外退避を支持した矢先の出来事だった。イランはすでに100機以上のドローンをイスラエルに発射したと報じられており、報復姿勢が鮮明となっている。米国は攻撃への関与を否定しているものの、イラン側は米国にも責任があるとの姿勢を示しており、中東の米軍拠点などが報復の標的となれば中東情勢の更なる緊迫化が意識される中で下値は支えられやすいとみられる。足元ではWTIベースで報道後に78ドル近くまで上昇した後、戻り売りに押され73ドルまで下落しているが、市場の動揺は続いており、ボラティリティの高まりに注意したい。