[Vol.1994] 原油は急反発によって元のレンジに戻った

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。72.40ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,397.02ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,010元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年08月限は552.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2118.07ドル(前日比27.13ドル縮小)、円建てで10,295円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月18日 18時34分時点 6番限)
15,864円/g
白金 5,569円/g
ゴム 305.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「原油は急反発によって元のレンジに戻った」
前回は、「トランプ氏も攻撃を止められなかった」として、中東の主要国、ホルムズ海峡の位置およびイランの原油関連データを確認しました。

今回は、「原油は急反発によって元のレンジに戻った」として、足元の原油相場を取り巻く環境(2025年6月)を確認します。

原油の国際的な指標の一つであるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油※先物の日々の安値は、足元の急反発によって、2022年の後半から続いていた80ドルを挟んだプラスマイナス15ドルのレンジに戻りました。

※WTI原油:米国の西テキサス地域で産出されるガソリンなどを比較的多く抽出できる原油。West Texas Intermediate。

レンジ相場とは、上昇と下落、両方の圧力に挟まれ、価格が一定の高値・安値の間で推移している状態のことです。足元の原油相場にかかる上下の圧力は、以下のとおりです。

トランプ氏、OPECプラス、ともに上下の圧力をかけています。こうした中で最も強い圧力をもたらしている材料が、トランプ氏が止められなかったことが一因で発生した、今回の中東情勢の混乱です。

世界に大きな影響力を行使するトランプ氏でも、イスラエル、イラン、双方の動きを止めることができなかったことは、今回の交戦状態が(昨年と異なり)長期化する懸念を強めています。

われわれは今、ホルムズ海峡封鎖や、核兵器を用いた戦闘など、これまで強く想定してこなかったリスクをも念頭に置かなければならなくなっているのかもしれません。

図:足元の原油相場を取り巻く環境(2025年6月)
図:足元の原油相場を取り巻く環境(2025年6月)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。