週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.28ドル安の60.05ドル、ブレント原油は0.77ドル安の64.00ドルとなった。

 先週の原油相場は、世界景気の減速懸念と供給面の不透明感が交錯しながら、方向感に欠ける展開となった。WTIは60ドル前後、ブレントは64~67ドルを中心としたレンジで推移した。

 週前半は、米国の経済指標が弱めの内容となり、石油需要の先行きに対する懸念が強まったことで原油は下落した。また、中国と欧州の製造業関連指標が低迷したことも、世界的な需要鈍化への不安を強めた。一方、週後半にかけては、米エネルギー情報局(EIA)が公表した在庫統計で、ガソリン・留出油など石油製品在庫が予想以上に減少したことが支えとなり、買い戻しが入り相場は反発した。ただし、原油在庫そのものは積み増し傾向が続いており、上値は限定された。市場では「供給は増加気味、需要は伸び悩み」という構図が継続しており、地政学リスクを背景に急落は避けつつも、上昇には材料不足の展開となっている。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は、引き続き需要懸念と供給リスクが綱引きする展開が予想される。相場は明確な上昇材料に乏しく、基本的にはレンジ内での値動きが続く公算が大きい。下押し材料としては、米国および中国を中心とした景気指標の弱さが挙げられる。米国では消費活動の鈍化が示されつつあり、中国でも製造業PMIが伸び悩んでいる。これらは世界的な石油需要の先行き懸念を強め、買いを抑える要因となる。一方で、供給面ではロシアと中東をめぐる地政学リスクが引き続き相場を下支えする可能性がある。また、米エネルギー情報局(EIA)の週次在庫統計で石油製品在庫の減少が確認されれば、実需の底堅さが意識され、下げ一服の動きが出やすい。

 総じて、明確なトレンドは出にくく、短期的には「下値は限定、上値も重い」形のレンジ相場が続くとみられる。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。