週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.01ドル高の59.08ドル、ブレント原油は1.13ドル高の63.62ドルとなった。

 前週末の原油市場は続落。ロシアとウクライナの和平交渉が合意に至った場合に世界の原油供給が増加すると見込まれていることが引き続き重しとなった。週明け24日は反発。FRBウォラー理事が12月会合での利下げ支持を改めて表明し、早期追加利下げ期待が高まったことが要因となった。25日は反落。ウクライナが米政府主導で作成された和平案の枠組みを支持する方針であり、ロシアへの制裁解除による原油供給拡大が意識される格好となった。一方で、ロシアがウクライナ首都へミサイル攻撃を仕掛けており、合意成立が不透明であることは下値を支えた模様。26日は反発。EIA統計で原油やガソリン在庫が市場予想を上回る積み増しとなったものの、輸入の増加が主因であったことや、石油掘削リグ数が前週比-12基(407基)と4週間ぶりのマイナスに転じたことが相場を支えた。27日は続伸。米国市場が感謝祭で休日となり薄商いのなか、ロシア、ウクライナの和平協議進展への懐疑的な見方や、12月米利下げ観測の高まりが意識された。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 先週の原油相場は引き続き上値重い推移が想定される。ロシアとウクライナの和平交渉の進展期待から引き続き供給増加が意識され、上値は重くなりやすい。一方、中国が独立系製油所向けの原油輸入割当を発表したことで需要面の下支えは見込まれそうである。また、OPECプラス会合では26年1~3月の増産停止方針を確認する見通しとなっており、供給面のサプライズは限定的となっている。和平交渉に新たな動きがあれば大きく動く可能性もあるが、目先は材料待ちから小幅なレンジ相場となりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。