週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.51ドル高の59.59ドル、ブレント原油は0.36ドル安の63.26ドルとなった。

 前週末の原油市場は反落。ウクライナ和平交渉が長引くとの観測や、合意に達しなければ対ロ制裁が強化されるとの見方から買いが先行したものの、月末要因の売りなどが重しとなった。週明け1日は反発。ウクライナの攻撃によりロシアの主要パイプライン設備が損傷したことが材料視された。2日は反落。ロシアのプーチン大統領が米国の中東担当特使やとらトランプ大統領の娘婿と会談し、ウクライナ和平交渉が進展するとの期待が相場を押し下げた。一方で、地政学リスクへの警戒感は下値を支える格好となった。3日は反発。ウクライナ和平交渉で大きな進展が無かったことが引き続き意識されたが、供給過剰懸念が上値を抑えた。4日は続伸。和平交渉の停滞によりロシア産原油の流入が回復するとの見方が後退したほか、米雇用関連指標の悪化を受けて利下げ観測が高まったことが相場を押しあげた。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場はウクライナ和平交渉やFOMCに左右される展開となりそうだ。FOMCでは0.25%の利下げに動くとの見方が有力となっており、景気改善から原油需要の増加が意識され買いが優勢となりそうだが、根強い供給過剰懸念から上値は限られるとみる。また、和平交渉の停滞、ウクライナによるロシアへの攻撃など地政学リスクが意識されていることは下値を支えると思われるが、交渉が進展し、FOMCで利下げ見送りとなれば大きく下げる展開も想定される。まずはFOMCの結果待ちとなりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。