[Vol.2119] 中央銀行の金(ゴールド)買い圧力継続

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。55.76ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,357.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年05月限は15,190元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年02月限は426.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2384.75ドル(前日比18.85ドル縮小)、円建てで13,053円(前日比91円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月19日 18時36分時点 6番限)
22,234円/g
白金 9,181円/g
ゴム 332.7円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「中央銀行の金(ゴールド)買い圧力継続」
前回は、「米中間選挙にかけて『利下げ熱』高まる」として、FRBの利下げ(思惑含む)時のドル建て・円建て金(ゴールド)相場への影響を、確認しました。

今回は、「中央銀行の金(ゴールド)買い圧力継続」として、ワールドゴールドカウンシル(WGC)が行った中央銀行向けのアンケートの結果の一部を、確認します。

中長期視点でも、中央銀行の金(ゴールド)買いは継続すると、筆者は考えています。2010年ごろから目立ち始めた、世界の民主主義後退・分断深化の流れが継続すると考えているからです。

2010年以降、中央銀行による購入量は売却量よりも多い状態(買い越し)が続いています。特に、ウクライナ戦争が勃発し、世界中で有事ムードが意識され始めたり、資源の武器利用によって長期視点のインフレ(物価高)が加速しはじめたりした2022年以降、統計史上最高水準の買いが続いています(2025年もほぼ同水準になることが予想されています)。

2010年ごろから目立ち始めた、世界の民主主義後退・分断深化の流れが後退しない限り、中央銀行の金(ゴールド)の買い越しは終わらない可能性があります。

以下のとおり、WGCが毎年行っているアンケートにおいて、近年、今後も金(ゴールド)の保有比率が上昇すると回答した中央銀行の割合が上昇しています。2010年ごろから目立ち始めた、世界の民主主義後退・分断深化の流れが一因であると、筆者は考えています。

2026年の金(ゴールド)相場は、代替通貨をきっかけとした短中期視点の上昇圧力を断続的に受けつつ、中央銀行(金保有量)と有事(非伝統的)をきっかけとした長期視点で継続している上昇圧力に支えられ、短期的な反落をこなしながら、総じて強気な状態が続くと筆者はみています。

また、米国で利下げの議論が続いている最中は「株高・金高」が生じやすいため、2026年も、2025年と同様、株価指数と金(ゴールド)が高値を更新すると考えています。2026年も、国内外の金(ゴールド)の動向にご注目いただければ、幸いです。

図:5年後、中央銀行(全体)の金(ゴールド)の保有比率(現在19%)はどうなると思いますか?(2025年)
図:5年後、中央銀行(全体)の金(ゴールド)の保有比率(現在19%)はどうなると思いますか?(2025年)
出所:ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。