[Vol.2118] 米中間選挙にかけて「利下げ熱」高まる

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。55.99ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,354.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年05月限は15,320元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年02月限は429.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2401.2ドル(前日比34.60ドル縮小)、円建てで13,040円(前日比223円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月18日 18時30分時点 6番限)
22,081円/g
白金 9,041円/g
ゴム 330.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「米中間選挙にかけて『利下げ熱』高まる」
前回は、「中央銀行は短期・長期の両方の変動要因」として、近年の米国株とドル建て金(ゴールド)の値動きの関係を、確認しました。

今回は、「米中間選挙にかけて『利下げ熱』高まる」として、FRBの利下げ(思惑含む)時のドル建て・円建て金(ゴールド)相場への影響を、確認します。

足元、FRBが今後、利下げをするかどうか、大きな議論が巻き起こっています。2023年12月のFOMC以降、米国の中央銀行にあたるFRBの方針は「利下げ」です。

CMEのFedWatchによれば、FOMCに関わる多くのメンバーが、向こう数年間にわたり、金利水準は今よりも低い水準で推移するとみています。少なくとも、金利が上がる(利上げが行われる)ことを想定しているメンバーは少数だということです。

利下げ時に金(ゴールド)価格は上昇することがあり、逆に利上げ時に金(ゴールド)価格は下落することがあります。以前の「[Vol.2116] 金(ゴールド)相場は5,200ドルに到達か」で述べた(3)の「代替通貨」起因の強い上下の圧力がかかるためです。

金(ゴールド)相場の動向を考える上で重要なことは、利下げが行われること、ではなく、利下げの議論が行われていることです。たとえ利下げが行われなかったとしても、今後「時期や規模は分からないが、利下げが行われそうだ」という思惑が続いていることが重要です。

下の図のとおり、利下げの議論は(3)代替通貨起因の上昇圧力となり、ドル建て金(ゴールド)相場に上昇圧力をかけます。有事(伝統的)をきっかけとした上昇圧力と相成り、利下げの議論が生む(2)代替資産起因の下落圧力を相殺し、ドル建て金(ゴールド)相場が上昇する可能性があります。

この時、ドル安の反対側で生じる円高が、円建て金(ゴールド)相場に下落圧力をかけます。しかし、ドル建て金(ゴールド)相場が上昇に勢いがあれば、その下落圧力は相殺され、結果として円建て金(ゴールド)相場も上昇すると、考えられます。

2026年も2025年と同様に発生することが想定される米国の「利下げ熱」は、国内外の金(ゴールド)相場に、短中期的な上昇圧力をかけ得るといえます。

図:FRBの利下げ(思惑含む)時のドル建て・円建て金(ゴールド)相場への影響
図:FRBの利下げ(思惑含む)時のドル建て・円建て金(ゴールド)相場への影響
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。