週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比1.70ドル高の61.16ドル、ブレント原油は2.04ドル高の66.65ドルとなった。

 前週末の海外原油は米中通商協議の第一弾が合意に達し、15日に予定されていた対中関税の発動も見送られたことが好感され、一時約3か月ぶりの高値を付けての上昇となった。また、英国の総選挙で保守党が過半数を得ての勝利となったことで対ユーロでのそる安が進行したことも支えとなった。ただし買い一巡後は戻りを売られると、上値からは上げ幅を削る展開となった。

 先週は米中が第一弾合意に達したことで世界経済の景気減速や原油需要の下振れ懸念が後退し、株式等を含めたリスク選好ムードの中で原油も買われる展開となった。週明けは先週末に引き続き米中合意に達したことが好感され小幅に上昇したものの、10月に口頭での米中合意に至った際は合意の文書化の過程での協議が難航したという経緯もあり、合意文書の詳細を確認したいとの思惑から上値は重かった。翌17日も米中合意によるリスク選好ムードの中で堅調な推移となると、原油在庫の減少予想もあって上値を伸ばす展開となった。翌18日はAPI統計において原油在庫が+470万Bと大幅増加したことが嫌気され売りが進んだものの、EIA統計においては-110万Bと予想よりは小幅な減少に留まったものの取り崩しが進んだことが好感され下げ幅を縮小すると、前日比ほぼ横ばいで取引を終えた。週末にかけては米中の第一弾の合意に関してムニューシン米財務長官が合意の内容で再協議の余地はなく、1月初めの署名に自信を持っていると発言したことが好感され約3か月ぶりの高値を付けて上昇する格好となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。