[Vol.2178] 質問・悲報「なんで下がっているんだ!」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。中東情勢の悪化などで。99.75ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,282.81ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年05月限は16,145元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年05月限は834.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2490.16ドル(前日比148.94ドル縮小)、円建てで13,429円(前日比153円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月23日 17時31分時点 6番限)
22,379円/g
白金 8,950円/g
ゴム 366.1円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「質問・悲報『なんで下がっているんだ!』」
前回は、「中東情勢悪化で食料価格高止まりは長期化」として、食料価格指数(世界全体)を、確認しました。

今回は、「質問・悲報『なんで下がっているんだ!』」として、株と金(ゴールド)の値動きにおける過去と現在を、確認します。

2020年3月、筆者の元に「なんで金(ゴールド)相場が下がっているの!?」という趣旨の文面で、メールが届きました。金融業界で長く仕事をしている人物からでした。

2019年12月ごろから一部で拡大し始めたと報じられた、新型コロナウイルスの感染がパンデミック化したことで、世界中の株価指数の多くが急落していた時でした。株価が下がっているのであれば、金(ゴールド)相場は上がっているものだ、と彼は考えたのだと思います。

あえて誰か(筆者)にメールを送るという行動をしたことから想像するに、彼は相応の額の株式を保有していたのかもしれません。そしてその株式の額に見合ったヘッジ(保険)のための金(ゴールド)を、保有していたのかもしれません。

世界中の株価指数の多くが急落し、利益が減ったり、損失が拡大したりしている様子を見て、きっと金(ゴールド)がそれらをカバーしてくれているだろうと、期待したのだと思います。しかし実際は、短期的に株価指数も金(ゴールド)も大きく下落しました。

同年3月9日に1,700ドル近辺だった金(ゴールド)相場は、同16日に1,500ドルを割り込みました。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、新型コロナウイルスがパンデミック化したことを宣言した日が同11日でした。

実は足元、当時と同じようなことが起きています。S&P500種指数とNY金(ゴールド)先物の相場は、2026年3月初旬から、急落しています。「株急落・金(ゴールド)急落」は、2020年3月と同じです。

足元の「株急落・金(ゴールド)急落」は、下の図の経路を通じて発生していると考えられます。

3月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見送られたことをきっかけとした懸念増→株安、ドル高→金(ゴールド)安と、2月28日の中東情勢悪化(伝統的な有事勃発)をきっかけとした懸念増→株安、ドル高→金(ゴールド)安という流れが同時進行しています。

「有事のドル買い」という言葉で報じられている事象については、ここで述べている中東情勢悪化(伝統的な有事勃発)がきっかけで発生しているドル高を説明するものです。

短期的な急騰・急落は、耳目を集め、世の中に大きな懸念や大きな期待を植え付けます。一方で、長期的な急騰・急落は、短期ほど耳目を集めません。しかし、こうしたタイミングこそ、短期的な急騰・急落が、長期的な急騰の先端部分で起きていることを、思い出す必要があります。

図:株と金(ゴールド)の値動きにおける過去と現在
図:株と金(ゴールド)の値動きにおける過去と現在
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。