[Vol.2236] 逆相関から株・金(ゴールド)同時上昇へ

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。76.19ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,347.76ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は17,890元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年08月限は510.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2556.46ドル(前日比16.76ドル拡大)、円建てで13,775円(前日比63円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月17日 18時48分時点 6番限)
22,825円/g
白金 9,050円/g
ゴム 439.0円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「逆相関から株・金(ゴールド)同時上昇へ」
前回は、「『複数同時』『圧力相殺』」が必須キーワードと題して、足元の金(ゴールド)市場を取り巻く環境について、述べました。

今回は、「逆相関から株・金(ゴールド)同時上昇へ」と題して、長期視点の金(ゴールド)市場を取り巻く環境について、述べます。

前回・前々回で、近年の短期視点の金(ゴールド)市場の傾向を確認しました。ここからは、長期視点の金(ゴールド)市場の傾向を確認します。S&P500と、NY金(ゴールド)先物の長期視点の価格推移です。

1980年代は、大まかに言えば、相関係数(マイナス0.6)が示す通り、株と金(ゴールド)は逆に動く傾向がありました。2010年ごろ以降は、相関係数(+0.82)が示す通り、株と金(ゴールド)は同じように動く傾向があります。

教科書に書かれている「株と金(ゴールド)は逆相関」の傾向があった1980年代は、株をメインとしたポートフォリオの中に、金(ゴールド)をどのように入れるか、という議論が盛んでした。

具体的にはメインの株が不安定化している、あるいはしそうな時、資金の逃避先と目される傾向がある金(ゴールド)を多く持つ、メインの株が好調である時は、資金の逃避先は重要視されず金(ゴールド)をあまり持たない、という傾向です。

こうした傾向の結果、「株と金(ゴールド)は逆相関」ができ上がったと言えます。株と金(ゴールド)が、横でつながっていた、時代です。

2010年ごろ以降は、相関係数が示す通り、同じように上がったり、同じように下がったり、しています。こうした動きは、同一の大きなテーマがもたらす影響を、株と金(ゴールド)、それぞれが受け、その結果として株高・金(ゴールド)高が起きていると考えるのが自然です。

横のつながりではない、ということです。もし仮に横のつながりなのであれば、株高の中、金(ゴールド)の価格は大暴落しているはずです。大暴落が起きていないということは、同一の大きなテーマが株価を押し上げ、同時に同じテーマが「別の文脈で」金(ゴールド)の価格を押し上げていると言えます。

同一の大きなテーマは、以下の図で示している「非伝統的な有事」の一つである、「通貨価値希薄化懸念」に関わる事象です。通貨の価値が希薄化する懸念は、通貨の供給量の急増がもたらしています。この通貨の供給量の急増が同一の大きなテーマの一つです。

通貨の供給量が急増することで、景気回復期待が高まり株価指数が大きく上昇することがあります。通貨の供給量が急増することで、社会で広く、資金の融通が行われ、景気回復が進むことを期待させるためです。

同時に、通貨の供給量が急増することで、その通貨の価値が薄まってしまう懸念を大きくします。このことは代替通貨として、金(ゴールド)の存在感を大きくします。

2010年ごろ以降、こうした経緯が一因で、株と金(ゴールド)の価格が大きく上昇したのです。同年ごろ以降の株と金(ゴールド)の長期上昇トレンドは、横のつながりによってもたらされたのではなく、同一の大きなテーマが目立ったことをきっかけに、結果的に起きたと言えるでしょう。

図:長期視点の金(ゴールド)市場を取り巻く環境
図:長期視点の金(ゴールド)市場を取り巻く環境
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。