[Vol.2287] 戦時下のレンジ「70~110」の下半分

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。中東情勢の悪化懸念などで。86.59ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。4,493.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。27年01月限は18,965元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年10月限は635.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,684.00ドル(前日比8.40ドル拡大)、円建てで14,385円(前日比52円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月31日 18時39分時点 6番限)
23,540円/g
白金 9,155円/g
ゴム 440.7円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「戦時下のレンジ『70~110』の下半分」
前回は、「けん引役の長期上昇トレンドは継続か」と題して、金(ゴールド)価格と自由民主主義指数の推移(年ベース)について、述べました。

今回は、「戦時下のレンジ『70~110』の下半分」と題して、2026年後半の原油市場を取り巻く環境について、述べます。

原油相場は「戦時下のレンジ」で推移しています。中東情勢の混迷、OPECプラスの減産、海上輸送の停滞、米国の原油在庫減少が重なれば、今後もこのレンジ内で推移する可能性があります。

2026年の年初以降のNY原油先物価格の推移を確認します。2月28日に中東情勢が急激に悪化した後、原油価格は一時110ドルを超え、その後は70ドル付近まで下落しました。

筆者は情勢悪化以降の原油相場の動きを「戦時下のレンジ」と呼んでいます。その目安は70~110ドルです。足元はその下半分に位置しています。複数の下落圧力と、複数の上昇圧力に挟まれ、レンジを形成していると言えます。

以下の図は、2026年後半の原油市場を取り巻く主な材料を示しています。レンジを形成する下落圧力は、世界景気悪化による需要減少懸念、中東情勢の鎮静化期待、米国の利上げ確率上昇、OPECプラスの自主減産の縮小(≒増産)などがきっかけで発生していると考えられます。

一方、上昇圧力は、米国の利上げ確率低下、中東情勢の悪化懸念、OPECプラスの協調減産継続観測、米国原油在庫の減少、ホルムズ海峡をめぐる輸送コスト上昇懸念などがきっかけで発生していると考えられます。

原油相場は当面、こうした複数の材料がもたらす上下両方の圧力に挟まれ、「70~110ドル」という中東情勢が急激に悪化した後に形成された「戦時下のレンジ」内で推移することが予想されます。

図:2026年後半の原油市場を取り巻く環境
図:2026年後半の原油市場を取り巻く環境
出所:各種資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。