[Vol.2270] 中東産原油の輸出をさまたげる国・組織

著者:吉田 哲
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原油反発。中東情勢の鎮静化期待などで。76.22ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,217.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は16,745元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年09月限は505.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2451.95ドル(前日比55.35ドル拡大)、円建てで12,836円(前日比42円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月5日 18時14分時点 6番限)
21,644円/g
白金 8,808円/g
ゴム 418.5円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「中東産原油の輸出をさまたげる国・組織」
前回は、「やはり60日間で歴史を変えられなかった」と題して、2026年下半期の原油相場の動向を占う重要な要素について、述べました。

今回は、「中東産原油の輸出をさまたげる国・組織」と題して、イランが支援しているとされるイスラム武装組織について、述べます。

中東情勢において、イスラエルとイランの二国間の対立は重要なテーマですが、これらの対立だけが同情勢を左右するテーマではありません。以下の図が示すように、イランと関係が深いとされる複数のイスラム武装組織が中東の各地で活動しています。こうした武装勢力の動向は、足元の中東情勢を考える上で、大変に重要です。

レバノンのヒズボラ、パレスチナ自治区ガザ地区のハマス、イエメンのフーシ派は、イスラエルと対立しています。いずれも、イスラエルに対し、軍事的な攻撃を行っています。また、これらの組織の存在が原油市場に与える影響は、「輸送能力」を大きく左右し得る点にあります。

中東産原油のほとんどは、タンカーに積載し、海を渡って輸送されます。このため、ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡などの海上交通の要衝を安全に通航できなければ、世界各国へ原油を届けることができません。

ホルムズ海峡を実質的に支配しているとされるイラン革命防衛隊は、米国との交渉を注視しています。交渉のきっかけや内容次第で、自国が望む核開発の推進を否定するイスラエルの軍事的な動きが活発化する可能性があるためです。

自国の安全保障という名目で核開発を続けたいイランと、対立する国(イラン)の軍備拡大を阻止したいイスラエルの思惑は、米国とイランが交渉を再開することを難しくしています。

このことは、ひいては、ホルムズ海峡の自由な航行を実現することを難しくしているといえます。イラン革命以降に拡大したイスラエルとイランの間のわだかまりを解かなければ、一連の問題は解決できないでしょう。(数十日で解決できる問題ではない)

主要な海上交通の要衝を通過したタンカーの数の推移を確認します。2026年3月を機に、ホルムズ海峡を通過したタンカーの数が激減したこと、6月にやや回復したものの、再び減少したことなどが分かります。

それに加え、2023年10月のハマスによるイスラエル奇襲後、フーシ派が紅海周辺で商船への攻撃を繰り返した影響を受け、バブ・エル・マンデブ海峡を通過したタンカーの数が大きく減少したことも分かります。

中東の武装組織による活動は、世界のエネルギー供給網を左右する大きなリスクです。原油市場が「戦時下のレンジ」から抜け出せない背景には、こうした輸送リスクが依然として解消されていないことが一因に挙げられると、考えられます。

図:イランが支援しているとされるイスラム武装組織
図:イランが支援しているとされるイスラム武装組織
出所:各種資料およびmap chartを用いて筆者作成 イラストはPIXTA

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。