[Vol.2272] 暴力は形を変えながら存在し続けている

著者:吉田 哲
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原油反発。中東情勢の悪化懸念などで。77.87ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米主要株価指数の反落などで。4,365.42ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は16,900元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年09月限は531.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,584.97ドル(前日比23.27ドル拡大)、円建てで13,536円(前日比21円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月7日 17時38分時点 6番限)
22,451円/g
白金 8,915円/g
ゴム 420.8円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「暴力は形を変えながら存在し続けている」
前回は、「株価指数は『戦争が続いているから』上昇」と題して、中東情勢をめぐる「懸念」と株式市場における「期待」の変化(筆者イメージ)について、述べました。

今回は、「暴力は形を変えながら存在し続けている」と題して、「見える暴力・見えない暴力」と二つの問題、中東情勢との関連について、述べます。

この数回で見てきたように、中東での戦争は原油相場だけでなく、株式市場や世界経済にも大きな影響を与えています。では、なぜ人類は戦争をやめられないのでしょうか。この問いに「正解」はありませんが、以下の図は一つの考え方を示していると筆者は考えています。

暴力には、「見える暴力」と「見えない暴力」の二つがあります。見える暴力とは、戦争やテロ、武力衝突など、人命や建物に直接的な被害をもたらすものです。一方、見えない暴力とは、インフレや貧困、経済制裁、サイバー攻撃、情報操作、ハラスメントなど、人々の生活や経済活動に負担を与えるものです。

第2次世界大戦後、人類は国際法や国際機関の整備、民主主義の拡大などによって、見える暴力を抑えようと努力してきました。その結果、国家間で全面戦争が起こる頻度は一定程度抑えられてきました。

しかし、その一方で、経済制裁や資源の武器利用、エネルギー価格の高騰、SNSを通じた情報戦など、新たな形の見えない暴力が拡大しました。消えたというよりも、姿を変えたと考えることもできます。(問題1)

また、情報通信技術の発達によって、不正や不満が可視化されやすくなりました。それ以前は見えなかった対立や格差がSNSなどを通じて瞬時に共有され、新たな対立が生まれるケースが増えました。

可視化は社会を改善する一方で、新たな分断を生み出すきっかけにもなり得ます。そして、その分断を抑制するには長い時間と忍耐が必要です。しかし現代社会は、効率や即効性を求める傾向が強く、対立を十分に吸収する時間と忍耐を確保しにくくなっています。(問題2)

二つに分けて考えることで、暴力を取り巻く全体像が見えやすくなります。もし、中東での戦争の真の目的の一つに、見える暴力ではなく、見えない暴力が据えられていた場合、わたしたちは中東での戦争に対する考え方を変えなければならないでしょう。

据えられているかどうかは、見える暴力の当事国のみ知り得るわけですが、今後の原油相場の動向を考える上で、こうした視点は重要であると、筆者は考えています。

図:「見える暴力・見えない暴力」と二つの問題、中東情勢との関連
図:「見える暴力・見えない暴力」と二つの問題、中東情勢との関連
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。