新型コロナウィルスと金価格 その2

著者:近藤 雅世
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 新型コロナウイルスが中国・武漢で話題になったのは12月8日前後と思われる。その後、習近平主席が初めて対策を出したのが1月20日であり、その間約1ヵ月半のブランクがある。市場は新型コロナウイルス騒動が世界中に拡大するパンデミックとして認識し、中国経済の成長鈍化が世界経済に影響を与えると解釈している。地政学的リスクに反応して、金はセーフヘブンとして買われ、NY金価格は12月9日の1464.9ドルから、2月3日の1582.4ドルまで+117.5ドル、8%上昇している。一方NY原油価格は、中国経済の減速で原油需要が減るとして、12月9日の59.02ドルから2月3日の50.11ドルまで、15.1ドル安くなり、8.9%下落した。

 さて、今後の予想であるが、こうしたパンデミックな出来事には、必ず収束時期がある。SARSの場合は11月に発生して、翌年7月に終息宣言が出た。1993年5月に15歳の少女の発症例が報告されたクロイツフェルト・ヤコブ病、いわゆる狂牛病は、1995年を皮切りに、死因がこの病気であると確認された人数は117名。推定を含めると死者は169名に達している。しかし、その後BSEはいつの間にか話題となっていない。筆者も当時、ロンドンで開催された20名程の会議の昼食で一斉にビーフステーキを食べて勇気を鼓舞したが、罹患していない。SARSや狂牛病の比ではないかもしれないが、2月2日タイ政府は、エイズとインフルエンザの薬をコロナウイルスの患者に投与したところウイルスが消滅したという政府声明を出している。いずれ新型コロナウイルスも人類は克服するだろう。

 一過性の出来事に対して市場は、当初は恐怖におののくが、慣れてくると織り込み済みとして、その後の感染の拡大に関係なく、取り合わなくなる。市場は熱しやすくて、冷めやすい。そうであるなら、これまでの金や原油の価格は、今後逆回転し始める可能性が高いと思う。ある意味では絶好の投資機会である。
 

 

 

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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