現在の減産は非OPECよりも、OPEC側の負担が大きい

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。50.49ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,568.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,475元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年04月限は403.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで595.55ドル(前日終値比0.65ドル縮小)、円建てで2,099円(前日終値比22円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月12日 大引け 先限)
 5,522円/g 白金 3,423円/g 原油 37,100円/kl
ゴム 179.6円/kg とうもろこし 23,250円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「現在の減産は非OPECよりも、OPEC側の負担が大きい」

今回は、個別の国ごとの現在の減産のルールを確認します。

減産基準量①は、原則、2018年10月の生産量です。(ナイジェリアは同月の生産量の値が、公表後に修正されました)

2018年12月の総会で削減量②が決まり、2019年12月の総会で追加削減量③が決まりました。

現在の減産は“①を基準に④(②+③)の量を削減し、⑤よりも生産量を増やさない”ことが求められているわけです。

現在の削減量のシェア⑥を見ると、サウジが29.0%と最も高く、次いでロシアの17.8%となっています。両国は生産量が多いOPECプラスのリーダー格ですが、サウジの方がロシアより多く、削減することになっていることがわかります。

また、削減率⑦ですが、これは、自らが減産順守を達成する上でしなければならない自分自身の負担の度合いを示しています。

最も高いのはクウェートの5.0%です。①を基準に5.0%もの削減をしないと減産を順守できない、という意味です。

次に高いのは、UAEの4.9%、サウジの4.6%です。

削減率はOPEC側が4.4%、非OPEC側が2.8%と、どちらかといえばOPEC側の負担が大きいと言えます。

この負担率は、OPECプラス内で何かを協議・決定する際の“発言力の強さ”を示しているように感じます。

自己犠牲を多く払い、身を粉にして減産を支えようとしている国ほど、減産に積極的に参加しているという点から、会議で発言力を行使できる、という具合です。

日量60万バレルの追加減産が勧告されましたが、いったいどの国がどれだけ負担することになるのでしょうか? そしてどの国が、身を切って発言力を強化するのでしょうか。

総会はこのままいけば、昨年12月に決定したとおり3月5・6日に開催されます。削減量のシェアと削減率に注目したいと思います。

図:現在の減産のルール(2020年2月12日時点)  単位:千バレル/日量
現在の減産のルール(2020年2月12日時点)

出所:OPECの資料をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。