新型肺炎のOPEC総会への影響②

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。45.77ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,627.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は10,550元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年04月限は353.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで746.55ドル(前日終値比7.2ドル拡大)、円建てで2,590円(前日終値比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月28日 16時40分頃 先限)
 5,674円/g 白金 3,084円/g 原油 33,700円/kl
ゴム 172.3円/kg とうもろこし 23,050円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「新型肺炎のOPEC総会への影響②」

今回は「新型肺炎のOPEC総会への影響②」として、前回に続き、新型肺炎の拡大が与えるOPEC総会への影響を考えます。

以下のグラフは、OPECプラスの国々(合計23カ国)のうち、WHOが感染を確認している国の、新型肺炎の感染者数を示しています。

同日時点で、OPECプラスの国々のうち、OPEC側はアルジェリア、イラク、クウェート、UAE、イランの5カ国(合計204人)、非OPEC側はバーレーン、マレーシア、オマーン、ロシアの4か国(合計61人)の、合計9カ国で感染者が確認されています。(当該国の国籍で、当該国外に居住する人を含む)

世界全体の感染数に比べれば規模的には大きくはありませんが、感染者が発生・存在することで不安が生じます。この不安が、総会に、以下のような具体的な影響を与える可能性があります。

1.総会が延期あるいは中止?
延期や中止といった、総会のスケジュール変更は、すでに今月行われたJTC(共同技術委員会)で決定した日量60万バレル程度の減産実施を、決定するタイミングを逸することになるため、原油市場にとってはマイナス要因となります。

2.開催されたとしても囲み取材や記者会見はなくなる?
OPEC総会では、多数の記者による囲み取材が名物と言われています。囲みの字のとおり、濃厚接触状態になります。

また、総会後の記者会見は会議場に記者たちがおおよそ100人程度(それ以上か?)集まっている中で行われています。この時間帯も、OPECプラスの要人も記者も、感染の可能性が高まります。

総会が行われたとしても、囲み取材や記者会見の中止となれば、総会で話し合われたことの詳細が報じられず、情報の透明性を低下させる要因になります。

この点も、原油市場にとってマイナス要因になる可能性があります。

引き続き、新型肺炎拡大が、総会にどのような影響を与えるかに注目したいと思います。

図:OPECプラスの国々の新型肺炎感染者数(前日比)  単位:人
OPECプラスの国々の新型肺炎感染者数(前日比)

出所:WHO(世界保健機関)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。