新型コロナウイルスと金価格 その6

著者:近藤 雅世
 コロナウイルスの影響で株価が下落し、金価格が上昇したと思ったら、下がったものは上がり、上がったものは下がるとの局面が現れた。

 NY金価格が2月28日に前日比▲75.8ドル急落したことについてはその前兆があった。それは、2月18日時点におけるNY金に対するファンドの買い残から売り残を差し引いたネット買い残が過去最大の38万8,803枚となったことだ。何事も過去最大となると、それ以上に上り詰める勢いと、達成感から反落する勢いが均衡するか後者が勝ることが多い。

 天井と底はくれてやれと言うルールに則れば、君子はそろそろ危ないと思うべきであった。株価が急落したために損失を補ったり、また不足した証拠金を補填するために、金の利益を一斉に実現したものと思われる。ファンドはポートフォリオの中に5~15%は金投資を常時入れているので、他の投資で損失が出た時は、株価の急落とは逆に動く金の価格で獲得した利益を、益出しして補うことが多いことを心得ておくべきであろう。

 World Gold Councilによれば、日本の年金ファンドでも2.5%~10%金をポートフォリオに入れていれば、過去10年間のパフォーマンスが上がっていたことをレポートしている。今後については、コロナウイルスがどこまで続くかにかかっている。世界の経済はかなり下方修正されることは間違いないが、それが一過性で終わるかどうかで様相は変ってくる。

 3月18日に予定されていた米国連邦準備制度理事会の利下げが急遽前倒しされた。驚いたことに、利下げされれば株価は上がると思っていたが、今日の結果は米国株安・金高と利下げの効果の教科書的予想を裏切っている。その背景にはドル安があった。ドルインデックスは2月20日の99.91から下落し続けており、3月3日は前日比▲0.207安の97.153に下がっている。ドル安が金の急反発を促したようだ。
 

 

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。 URL:http://commi.cc/ eメール:kondo@commi.cc