[Vol.2003] 金(ゴールド)市場の二種類の「クジラ」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。65.05ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,356.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,095元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年08月限は499.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2002.3ドル(前日比37.60ドル拡大)、円建てで9,727円(前日比61円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月1日 18時20分時点 6番限)
15,502円/g
白金 5,775円/g
ゴム (まだ出来ず)
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,024円/mmBtu(25年9月限 6月24日15時01分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)市場の二種類の『クジラ』」
前回は、「中央銀行は金(ゴールド)を重用」として、中央銀行が保有する外貨準備高の通貨別内訳(世界合計 推計値)を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)市場の二種類の『クジラ』」として、金(ゴールド)市場における、二種類の「クジラ」に関する筆者の考えを確認します。

株式市場では、年金基金などの莫大(ばくだい)な資金を動かす存在を「クジラ」と呼ぶことがあります。それにならえば、全需要の2割を超える購入を続ける近年の中央銀行は、金(ゴールド)市場のクジラだと言えるでしょう。

大まかに言うと、クジラの特徴は、(1)大規模な資金を動かし、市場に大きな影響を与える、(2)短期ではなく、長期の時間軸で動く、(3)社会情勢に対し、深遠な展望を持っている、と言えます。まさに、巨体が悠然と大海原を回遊するイメージです。

そのクジラですが、大きく二種類に分けることができると、筆者は考えています。「先進国型」と「新興国型」です。

金(ゴールド)に対する認識について、先進国型は、歴史的に信用できる資産、無価値にならない資産、最後の拠り所であると、新興国型は、危機時のダメージ緩衝材、世界分断深化時に効果があるもの、国内のリスクを軽減する存在であると、考えている節があります。

歴史的な時間軸で認識する先進国型のクジラも、リスクが発生することが常態化した国際社会で生き抜くすべとして認識する新興国型のクジラも、金(ゴールド)を、長期視点で見ていると言えるでしょう。

筆者が提唱する金(ゴールド)市場に関わる七つのテーマにおいて、「中央銀行」は中長期視点のテーマです。そして、「中央銀行」は、それよりも時間軸が長い超長期視点のテーマである「世界分断」と、深く関わっています。

図:金(ゴールド)市場における、二種類の「クジラ」
図:金(ゴールド)市場における、二種類の「クジラ」
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。