サウジとロシアの貿易収支における違い

原油
著者:吉田 哲
原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。32.70ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,666.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は10,290元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年05月限は338.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで793.2ドル(前日終値比17.2ドル拡大)、円建てで2,606円(前日終値比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月9日 18時30分頃 先限)
 5,490円/g 白金 2,884円/g 原油 23,930円/kl
ゴム 159.7円/kg とうもろこし 22,720円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジとロシアの貿易収支における違い」

3月5日と6日の産油国の会合の結果は報じられているとおり、OPECと非OPECの協議は決裂し、減産の強化はおろか、延長すらできず、2017年1月にはじまり、何度も延長されながら続いてきた協調減産は、2020年3月31日をもって終了することとなりました。

2月のJTC直後に開催が提案された臨時総会の開催に対して難色を示し続けたため、3月の会合で協議が決裂する可能性はゼロではないと、各種報道でささやかれていました。それが現実のものとなったわけです。

以下は、OPECプラス内の、OPEC側のリーダー格のサウジアラビア、非OPEC側のリーダー格のロシアの貿易収支と原油価格の推移です。

サウジとロシアの貿易収支は、原油価格とほぼ連動しています。サウジとロシアの貿易はそれだけ、原油価格の変動に影響を受けていることがわかります。

サウジとロシアの貿易収支の推移で異なるのは、変動幅です。2010年頃以降、サウジの貿易収支の方が、上下の変動幅が大きくなっていることがわかります。

特に、逆オイルショック(2014年半ばから2016年後半にかけて起きた原油価格の急落・低迷)の際、サウジの貿易収支がロシアの貿易収支よりも、大きく落ち込んだことがわかります。

近年のサウジとロシアにおいて、どちらが原油価格の下落時に大きくマイナスの影響を受けるのか? と問われれば、答えは“サウジ”なのだと思います。

また、国の財政をまかなう上で必要な原油価格について、サウジは60ドル近辺、ロシアは40ドル近辺、という情報があります。(採掘コストではなく、国全体の収支をまかなう上で必要な原油価格)

原油価格が30ドル台で推移している現状では、サウジは国自体が厳しい状況にある可能性がありますが、ロシアはなんとか耐えられる可能性があります。

サウジがロシアよりも原油価格が下落した場合に不利であることを示した貿易収支の話と合致します。

図:原油価格とサウジとロシアの貿易収支 ※貿易収支はともにドル換算
原油価格とサウジとロシアの貿易収支

出所:CMEおよびUNCTADのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。