新型コロナウイルスと金価格 その7

著者:近藤 雅世
 新型コロナウイルスの影響を受けて世界の景気が委縮するとの見通しから、株価の下げが止まらず、その分金が買われて3月第1週の世界の金のETF残高は過去最大を更新し続けている。

 これまでの金価格の上昇は、ファンドのネット買い残が増加して金価格が比例して値上がったことが多かった。ファンドのネット買い残と金価格の関係は2018年の相関係数0.96、2019年の0.97である。これに比べて、2020年の最初の2ヵ月のネット買い残と金価格の相関係数は0.77と下がっている。

 2005年以来過去16年間の年間相関係数を調べてみたら、0.86以上の相関係数を持つ高い正の相関があった年が9年と56%を占めている。過去の半分以上はファンドが買ったから価格が上昇しているが、今年は、確かに2月18日の週に過去最大のネット買い残とはなっているが、価格の動きとファンドのネット買い残の動きには相関が低くなっている。これは、今年の金を購入している投資家は、常時金をWatchしているファンドマネージャー以外の証券投資家等が安全資産として金を買ったのであろうと思われる。プロの金投資家ではなく、一般投資家が金を求めていると言えよう。

 新型コロナウイルスは一説では一種の風邪のようなもので、インフルエンザ程の致死率もないことから、時間の問題で医薬品が開発され、近い将来は風邪並みの認識となるのではないかと言われている。致死率が50%を超えるエボラ出血熱や、5~10%のH5N1型インフルエンザといったパンデミックとは新型コロナウィルスでは致死率の点でかなり重症度は低いようである。

 従って今後一定期間、一定規模の流行が収まれば、終息する類いの病ではなかろうか。そうした意味では、金価格はうたかたの夢に終わる可能性もあることを頭の片隅に入れておくべきではなかろうか。
 
ファンドのネット買い残と金価格の関係

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。 URL:http://commi.cc/ eメール:kondo@commi.cc