米国の原油在庫、記録的な増加の背景

原油
著者:吉田 哲
原油反発。主要株価指数の反発などで。22.32ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,601.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は9,745元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年06月限は289.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで873.8ドル(前日比0.2ドル拡大)、円建てで2,996円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(4月2日 18時26分頃 先限)
 5,446円/g 白金 2,450円/g 原油 23,890円/kl
ゴム 142.9円/kg とうもろこし 22,650円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米国の原油在庫、記録的な増加の背景」

今回は「米国の原油在庫、記録的な増加の背景」として、先週急増した米国の原油在庫について、製油所への原油の投入量の面から考察します。

製油所は、原油をガソリンや暖房油、軽油、LPガス、重油などの石油製品に精製する、つまり一次エネルギーを二次エネルギーに転換する所です。

この製油所への原油の投入量が、直接的な意味での“原油の消費量”と言えます。

今回の本題である米国の原油在庫についてですが、EIA(米エネルギー省)が昨日公表した週次の統計で、4億6919万バレル(3月27日時点)となり、前週に比べ1380万バレル強、増加したことがわかりました。

この増加量は同統計で確認できる1982年8月20日以降の2番目に多い量です。つまり、3月最終週は、米国の原油在庫は記録的な増加となったわけです。

在庫を供給量から消費量を差し引いた分と考えた場合、この値が増加する状態とは、供給が消費を上回る、消費が供給を下回る、というモノ余りが生じる状態です。

先述とおり、製油所への原油の投入量は“消費量”です。以下のグラフのとおり、3月の最終週、製油所への投入量が急減しています。

過去、超大型ハリケーンがメキシコ湾を襲い、精製施設が稼働停止を余儀なくされた時の規模に迫ります。先週の在庫増加の直接的な要因は、消費量の減少と考えられます。

製油所への投入量の減少は、①米国内の石油製品の消費減少が見込まれるため、②輸出相手国の石油製品の消費減少が見込まれるため、③製油所の稼働を縮小させて新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、④原油相場が暴落したことで採算が悪化して操業を縮小しているため、などさまざまな原因が考えられます。

上記4つの原因いずれにも、新型コロナウイルスの感染拡大が深く関わっています。

その意味では、まだ今後も、米国内での製油所への投入量の減少をきっかけとした、米国の原油在庫の増加が続く可能性があります。

図:米国の製油所への原油投入量(ネット) 単位:百万バレル/日量
米国の製油所への原油投入量(ネット)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。