クッシング地区の原油在庫はメキシコ湾岸地区に移動した!?②

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。32.80ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,726.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,165元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年07月限は275.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで855.4ドル(前日比10.2ドル拡大)、円建てで3,110円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(5月29日 19時20分頃 先限)
 5,955円/g 白金 2,845円/g 原油 24,990円/kl
ゴム 152.3円/kg とうもろこし 22,700円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「クッシング地区の原油在庫はメキシコ湾岸地区に移動した!?②」

前回は「コロナが、米国を原油純輸出国にする!?②」として、5月26日(火)に、米エネルギー省(EIA)が公表した、月次レポートから、米国の原油の輸出量と輸入量について、書きました。

今回は、以前の「クッシング地区の原油在庫はメキシコ湾岸地区に移動した!?」の続報として「クッシング地区の原油在庫はメキシコ湾岸地区に移動した!?②」と題して書きます。

以前は、米エネルギー省が5月20日(水)に公表した、週間石油統計から、WTIの主要な集積地であるオクラホマ州のクッシング地区と、同地区の南部に隣接するメキシコ湾岸地区の原油在庫について書きました。

今回は、その翌週分となる、5月28日(木)に同省が公表した週間石油統計から、同様に、2つの原油在庫に注目します。

以下のグラフのとおり“クッシング地区減少・メキシコ湾地区増加”の傾向が、前週から続いています。

以前に、このことについて、クッシング地区の原油在庫は、一見減少したように見えるものの、実は、近隣のメキシコ湾地区に“移動した”だけ、である可能性がある、今後、クッシング地区とメキシコ湾岸地区の両方の、原油在庫に注目することが必要、と述べました。

最新のデータでも、この傾向が続いていたわけです。

足元のクッシング地区の原油在庫の減少が、WTI原油の消費増加によるものではないことを、メキシコ湾地区の原油在庫の増加が同時に起きていることが示唆しています。

両手離しに、クッシング地区の原油在庫の減少を、好意的に受け止めるわけには、いかないと、筆者は考えています。

引き続き、地理的に隣接し、パイプラインなどのインフラもつながっている、クッシング地区とメキシコ湾地区の、原油在庫の推移に、注目していきたいと思います。

図:PADDの一つメキシコ湾岸地区の原油在庫と、WTIの主要集積地のクッシング地区の原油在庫
単位:千バレル
PADDの一つメキシコ湾岸地区の原油在庫と、WTIの主要集積地のクッシング地区の原油在庫

出所:米エネルギー省(EIA)のデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。