濃淡がある、米シェール主要地区ごとのコロナの影響

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。37.56ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,736.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,335元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年08月限は290.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで901.4ドル(前日比4.1ドル縮小)、円建てで3,163円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月16日 18時48分頃 先限)
 5,967円/g 白金 2,804円/g 原油 27,650円/kl
ゴム 157.3円/kg とうもろこし 22,550円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「濃淡がある、米シェール主要地区ごとのコロナの影響」

前回は「引き下げが続く、米国の石油消費量の見通し」として、EIA(米エネルギー省)が、3月から6月までに公表した、月次の短期見通しで示された米国の石油の消費量の見通しについて、書きました。

今回は「濃淡がある、米シェール主要地区ごとのコロナの影響」として、EIAの統計から、米国の原油生産量について、書きます。

先週と今週、EIAが複数の統計で、米国全体と米国のシェール主要地区の、5月の原油生産量を公表しました。

米国全体も、そのおよそ7割を占めるシェール主要地区も、減少したことが分かりました。

新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が起きる前の3月と、先月5月を比べると、米国全体でおよそ11%、シェール主要地区でおよそ12%、減少したことが分かりました。

減少分の8割強がシェール主要地区分であることから、米国全体の原油生産量の減少は、数カ月間、原油価格が30ドル以下で推移したことで発生したシェール主要地区の原油生産量が大きく減少したこと、によって起きたと考えられます。

また、EIAは、米国には7つ、シェール主要地区があるとしています。

コロナや原油価格が低迷したことで受けた影響は、7つの地区で、同一ではありません。

もっとも原油生産量が多い米国南部のパーミアン地区は、この期間、日量43万バレル減少しました。この量は同地区の生産量のおよそ9%です。

一方、同じ日量40万バレルを超える減少となった、米国北部のバッケン地区では、同地区全体のおよそ28%、減少しました。

バッケン地区最大のシェール業者だったホワイティング社が4月に破綻したことが大きな要因とみられます。

米シェール生産量は今後、減少することが見通されていますが、地区によって、減少の影響度が異なる点にも留意が必要です。

図:米国の原油生産量の増減(2020年3月と5月を比較)


出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。