NY金、もち合い上放れなら上げ加速へ

著者:菊川 弘之
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 NY金(8月限)は、心理的節目1800ドルでは上値が抑えられているものの、1700ドル以下は短期間で買い拾われており、押し目買い意欲が強い中でのボックス相場となっているが、20日間高値に続き、50日間高値(1789ドル)を上抜いてくると、CTAなどのトレンドフォロー型資金が一気に流入するだろう。

 一目均衡表で変化が起こりやすい基本数値・対等数値の時間は、6月29日、7月2日、7月8日。

 コロナショックで世界的に財務肥大が続いており、米大統領選挙を控え、突発的な地政学リスクも潜在する中、現行の金相場の保合いは、団子天井ではなく、長期上昇トレンド下の中段のもち合いと見る。

 週末に行われた全人代常務委員会議(18-20日)では、香港「国家安全法制」の関連法案について20日の最終日に採決せず、継続審議とする見通しとなった事に続き、「米中貿易協議の第1段階の合意に沿うべく、中国が米農産物の購入を加速する」と報じられ、株式市場は好感したが、21日(日曜日)中国国営新華社通信は、常務委員会の会議が28日から30日に開かれることが決まったと報じた。これだけ短期間で連続して開催されるのは異例の事態。次回は8月開催と見られていた。

 通常、全人代常務委では法案について3回の審議を行うが、2回の会議で採決に踏み切る可能性についても指摘しており、「香港国家安全維持法」が、今月中に成立する可能性が出てきた。7月1日は、香港が英国から中国に返還されて23年、中国共産党創立から99年の記念日。9月の香港選挙前に何としても成立させると思われる。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券インベストメント株式会社 チーフ・ストラテジスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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