NY金、もち合い上放れなら上げ加速へ

著者:菊川 弘之
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 株価と実体経済との大幅乖離が続く中、NY金がしっかりとした動きとなってきた。米連邦準備員会(FRB)は、6月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、少なくとも2022年末まで、ゼロ金利政策を維持する方針を表明。その後のパウエル議長会見では「利上げは検討すらしていない」と述べた。

 マーケットは材料を先取りするとは言っても、2022年末以降の米利上げを織り込むには、今の段階では早すぎる。当面はドルの上値は抑えられ、「通貨の顔」としての金相場の下値は限定的とのマーケット認識が与えられた格好だ。

 先進国のロックダウン(都市封鎖)緩和で株価は反発、昨晩はナスダックが最高値を更新するなど強い動きを見せているが、全米経済研究所(NBER)は、今年2月に米経済は景気後退(リセッション)入りし、これまで史上最長だった10年超に及ぶ景気拡大局面は終了したとの見方を示した。

 世界銀行は、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響により、世界の域内総生産(GDP)は2020年に5.2%縮小するとの見通しを示している。

 経済協力開発機構(OCED)は、今年の世界経済の成長率が平時としては過去1世紀で最悪になるとの見通しを示した。新型コロナウイルスの感染拡大が第1波で収束した場合、世界経済の成長率は今年がマイナス6.0%、来年がプラス5.2%となる見通し。

 今週は、IMFが24日(水)に世界経済見通しが発表されるが、各国のロックダウン(都市封鎖)緩和で経済活動が再開され、回復期待が高まったが、感染第二波が警戒されており、マイナス成長が見込まれるだろう。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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