バイデン氏の勝利が確定したら、原油価格は下がるのか!?

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。42.45ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,876.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は14,145元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年01月限は265.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで989.6ドル(前日比5.9ドル拡大)、円建てで3,368円(前日比0円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月11日 17時51分頃 先限)
6,374円/g 白金 3,006円/g
ゴム 223.4円/kg とうもろこし 24,910円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)
WTI原油先物日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「バイデン氏の勝利が確定したら、原油価格は下がるのか!?」

前回は「トランプ氏は逆転勝利できる!? そのために必要な3つの条件とは!?」として、バイデン氏が“勝利宣言”をした今回の米大統領選挙で、トランプ氏が逆転できるとすれば、どのような方法があるのかを考えました。

今回は「バイデン氏の勝利が確定したら、原油価格は下がるのか!?」として、11月6日(金)から11日(水)日本時間夕方までの、主要銘柄の騰落率を確認します。

以下のグラフの通り、原油相場は今週、およそ13%、上昇しています。

バイデン氏の勝利が確定していないため、クリーンエネルギーの促進(≒化石燃料の消費量減少)が進まないとの思惑が、原油相場のプラス要因になっているのでしょうか?

筆者は、足元の原油相場の大幅上昇の理由は、これではなく、熱狂的で盲目的な、過熱感を帯びたムードが主因であると、考えています。

振り返ってみれば、先週は“バイデン氏優勢・勝利確実”の報をきっかけに、複数のプラスのムードが市場に広がりました。

たくさんの不安要素を抱えたまま行われた今回の米大統領選挙が無事終わる見通しとなり安堵感(あんどかん)が生じ、この4年間のトランプ政権下、底流していた“漠然とした不安”から抜け出す見通しが浮上して解放感が生じ、上院と下院が異なる政党が多数派を占めることを意味する“ねじれ”により、バイデン氏が訴求してきた法人税増税がすぐには行われない、との思惑から安心感が生じたと、考えられます。

先週生じたこのような、安堵感、解放感、安心感などのプラスのムードは、景気回復期待を生み、株高の要因になっているとみられます。

そしてこのようなプラスのムードを、“強力に増幅”させているのが、今週出た、“ワクチン効果あり”報道であると、考えられます。

グラフの通り、“ワクチン効果あり報道”が出たあと、つまり今週ここまでの、各種主要銘柄の騰落率を確認すると、原油、主要株価指数、ドルが上昇、そして無国籍通貨という特徴がある金などが下落していることがわかります。

景気過熱時に起きる、熱狂的で盲目的な買いが先行する状態、に似ています。

クリーンエネルギー政策を掲げるバイデン氏の勝利報道で、原油は下落するとの声がありましたが、逆に大きく上昇していることから、それだけ、全体的に、今の各種相場は、盲目的な過熱感を帯びていると言えると、思います。

一般社会は、“バイデン氏が次期大統領”とみなして先に進んでいますが、大統領選挙の慣例となっている“敗北宣言”が、まだトランプ氏から出ていません。このため、議会で正副の大統領が決まる可能性を排除することは、まだできません。

法廷闘争が激化した場合、急速に不安感が広がり、各種市場が不安定化する可能性がある点を、意識をしておく必要があります。

また、トランプ氏が敗北宣言をしていないことに加え、効果があるとされたワクチンが、まだ一般人に投与されておらず、効果が実感できていないことにも注意が必要です。

今の相場に、まだ実態が伴っていないことに目を向ける必要があります。

図:主要銘柄の騰落率 11月6日(金)から11日(水)日本時間夕方時点
WTI原油先物日足

出所:各種情報源のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。