金とビットコインを始めとする暗号通貨(その1)

著者:近藤 雅世
 金とビットコインを始めとする暗号通貨に関して、World Gold Councilは2021年2月2日付け『Gold and cryptocurrencies』と言うレポートを発行し、金と暗号通貨の違いを述べている。この内容については、株式会社コモディティーインテリジェンスは2月15日付けの週刊ゴールドの記事で解説し、YouTubeの金と原油の動画サイトgold-tv.net(https://gold-tv.net/)では2月15日に近藤雅世が解説し、また別にモリタアソシエーツの森田隆大氏も同サイト解説している。

 World Gold Councilのrポートでは、投資としての暗号通貨と金を比較しており、通貨としての比較部分はかなり少ない。暗号通貨の側面を的確に記述しており、その意味では価値があるが、そこに書いていない部分もあるので、その点についても、筆者の力の及ぶ範囲で述べてみたい。これでもまだ通貨全体を語るには足りないと思われるが、何回かに分けてここにできるだけ述べてみたい。

(1)ビットコインの価格
 ビットフライヤーズによれば、2021年3月16日のビットコインの価格は6148046.90円であった。1ヵ月前の2月16日の価格は5,216,377.1円であるので、この1ヵ月で +\931,669.8円、+17.9%と2割近く上がっている。年率は214%と驚異的な値上がりある。こうした値上がりを見ると、誰でもその投資ゲームに参加したくなるのは常であろう。
 但し、3日前の3月14日の価格は\6,660,786.5だったので、2日間に▲¥512,739.6値下がっている。2日間で▲7.7%、年率では▲1,404.9%である。上がる時も大きければ、下がる時も非常に大きいというボラティリティの高さがうかがえる。

bitFlyer|ビットコイン(Bitcoin)/日本円のチャート

みんなの仮想通貨|ビットコイン/円(BTC/JPY)リアルタイムチャート

 2月8日、米国の電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスクCEOは15億ドルの資金を投入してビットコインを購入した。これには業界や投資家から賛否両論の意見が飛び交った。テスラ株は昨年9月から167%上昇したが、直近では▲35%下落している。テスラ株を巡ってテスラは、投資家との間で何度も株価操縦の疑いで提訴されている。

 15日付ロイターによれば、インド政府は、暗号資産(仮想通貨)を禁止する法案を提案する方針である。取引だけでなく、同国内で保有することも禁じる。政府高官がロイターに明らかにした。法案は、暗号資産の保有、発行、マイニング(採掘)、取引、送金を犯罪行為と見なす内容。暗号資産の保有者には6カ月以内に売却する義務が生じ、従わなければ罰則が科せられる。

 さて、World Gold Councilは、金と比較されるビットコインを始めとする暗号通貨に対して、以下のように評論している。

① 金と暗号通貨の違い
 過去1年間の暗号通貨の急上昇は、投資家の目を集めている。しばしば、暗号通貨への投資は金への投資と同一視される。見かけ上の類似点はあるものの、基本的にも、実務的にも金は暗号通貨と一線を画している。

★ 金の需要は、より多様である。
★ 暗号通貨の供給と所有は集中している。
★ 暗号通貨はリターンを通じてポートフォリオのパフォーマンスに寄与してきたが、大きなリスクが加わっている。
★ 金は高品質の流動的な資産であり、暗号通貨を保有するポートフォリオは金へのより高い割り当てから恩恵を受ける可能性がある。
★ 規制の枠組みの強化は、暗号通貨の価値を変える可能性がある。
ブロックチェーンと暗号通貨の出現は、金融業界のイノベーションを促進した。それらの普及と最近の指数関数的な価格上昇は、投資家の想像力をかきたてた。しかし、ブロックチェーンと暗号通貨の最近の動向は、暗号通貨が気温の代替品であることを暗示しているわけではない。

★ 金とビットコインの共通点は、
 イ) 供給が限られている。
 ロ) 不換紙幣の代替通貨としての役割がある。
などの認識に由来しているようだ。しかし、この比較は単純化されており、金と暗号通貨の根本的な違いを見落としている。

★ 金には四つの用途がある。
 金は投資と実需の二面性を持っている。金の需要は、暗号通貨の需要とは大きく異なる。2000年以上にわたり、金は交換手段としての役割を果たし、価値の貯蔵庫として使用されてきた。金は、機関投資家や個人投資家、中央銀行によって所有されている。

★ 金の最大の需要は、インドと中国など文化や宗教的な信念と深く関係している。
また、金はコンピューター、携帯電話、その他の技術の部品など、ハイエンドの電子機器に広く使用されている。このことが金を多くの資産とは一線を画しており、金は歴史的に、経済的なストレスがかかった場合にも、長期駅な経済拡大の恩恵を受けるというユニークな二面性を持っている。また、このことが、リターンの源泉として、及び効果的な分散投資方法として、金のポートフォリオにおける戦略的な役割を裏付けている。

 

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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