[Vol.1014] プラチナ市場の解釈には、材料の足し引きが必要

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。70.42ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,894.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は12,740元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年07月限は453.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで742.7ドル(前日比7.7ドル縮小)、円建てで2,602円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月11日 19時18分頃 先限)
6,666円/g 白金 4,064円/g
ゴム 235.5円/kg とうもろこし 36,320円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「プラチナ市場の解釈には、材料の足し引きが必要」

前回は、「プラチナ相場は「脱炭素」ブームでも下落していない」として、本格化する「脱炭素」ブームとプラチナの価格動向の整合性への疑問について書きました。

今回は、「プラチナ市場の解釈には、材料の足し引きが必要」として、前回述べた「フォルクスワーゲン問題」と同様の連想が働く中にあっても、プラチナ価格が上昇しいている理由について書きます。

「フォルクスワーゲン問題」発覚時と同様、プラチナ価格が下落する連想が働く中で、価格が上昇しているのは、プラチナ市場にこの連想起因の下落圧力を相殺して余りあるだけの、上昇圧力がかかっているためだと考えられます。

上昇圧力は、主要国の金融緩和やそれによる株高をきっかけとした景気回復期待でプラチナの産業用需要が回復する期待が高まっていること、金融緩和をきっかけとした「代替通貨」の需要増加や、新型コロナ感染拡大による「有事のムード」の高まりなどで金(ゴールド)価格が上昇していることなどによって、もたらされていると考えられます。

「フォルクスワーゲン問題」発覚時と同様の連想によって生じている下落圧力を、「短期」「長期」の複数経路からの上昇圧力が、相殺しているとみられます。足元のプラチナ価格の上昇を説明する際、各材料がもたらす影響度を足したり引いたりする必要があるわけです。

次回以降、上昇圧力の「長期」に記した「水素社会」にプラチナが貢献する期待、について書きます。

図:新型コロナショック(2020年3月)以降のプラチナ市場の環境


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。