第11回、移動平均線 その7、『 指数平滑移動平均線の重要性 』

3.指数平滑移動平均線を極める!

□まずは小次郎講師流の計算式を紹介する。もちろん、私のオリジナルではなく、こういう計算をしている人はたくさんいらっしゃると思うが。
【小次郎講師流EMAの計算式】 1.過去のそれぞれの価格(1日前からn-1日前まで)は昨日のEMAで代用 2.本日の価格は2倍 3.(本日の価格を2倍したため)データがひとつ増えるので、n+1で割る。
□わかりやすく5日移動のEMAを例にする。昨日のEMAの値をEMAyとし本日の価格をPとする。 ( EMAy×4 + P×2 )÷ 6  これが小次郎講師流のEMAの計算法だ。難しくないだろ? ■「すごいためになる話なんですけど、残念なお知らせです。・・・講師、今、読者の三分の二が寝ています(汗;)」 □起こせ!ていうか、ここ一番大切なところだから読者の皆さん、しっかり付いてきてほしいぞ。本物のテクニカル分析を身につけるために。 ■「はい、みんな顔洗ってきて。」 □ごほん。いいかな?では集中。下図を参考に単純移動平均と比較してごらん。『昨日までの価格は昨日のEMAで代用する。本日の価格は2倍する。本日の価格を2倍したので、平均値を出すとき5ではなく6で割る。』これだけだ。 ※5日移動のSMAとEMAの比較 □では補足しながら説明していくぞ。くどいが全員に理解してもらいたいのでね。 単純移動平均線の5日移動平均だったら、先ほど説明したとおり ( A+B+C+D+E ) ÷ 5 となるよな。そして次の日は ( B+C+D+E+F )÷ 5 となる。ここで指数平滑移動平均線は少し改良を加えた。どう改良したかと言うと、 B+C+D+E の代わりに、昨日のEMAを使う。EMAyと書くと複雑なので、昨日のEMAをHとする。 つまり H+H+H+H で置き換えた。 そして本日の価格をPとする。この値は直近の値に比重を置くために2倍する。 H+H+H+H+P×2 だ。これを平均するとなると、Pを二倍しているので、6個データがあると計算して ( H+H+H+H+P+P )÷ 6 となる。 これが前記の図の意味。よおく比較して理解してくだされ。 □これにより、まず、本日の価格を2倍とウェイトを置いていることがわかる。 ■「質問!本日の価格にウェイトを置くだけでいいんですか?加重移動平均線では昨日の価格も、その前の日の価格もそれなりにウェイトを置いていましたが。」 □もちろん、そうあらねばならない。EMAではこの2倍された本日の価格が明日には昨日の平均値として組み込まれる。それを繰り返していくわけだ。ということは、本日の価格の次に昨日の価格にウェイトがあり、その次に一昨日の価格にウェイトがあるということになるのだよ。つまり、最終的には加重平均線と考え方は同じことになる。 ■「そうか。なるほど、そうですね。」 □そしてこのEMA、5個のデータを計算しているだけに見えるが、実はこの昨日の平均値Hには5日前の値段も入っている。そしてこれを繰り返すことにより、その前の日の価格もその前の日の価格も入っていることになる。 EMAでは単純移動平均線のように過去データをある日から切り捨てるということがない。だから現在の平均値には全てのデータが反映されている。 ■「なるほど、5日移動の単純移動平均線でいうと、6日目には1日目の値を切り捨てて、2日目から6日目の値で計算することになるわけですけど、EMAだったら全部の数値が含まれているわけですね。」 □そゆこと。