第11回、移動平均線 その7、『 指数平滑移動平均線の重要性 』

□では、EMAが単純移動平均より簡単だという話をしたが、そのことを証明しよう。

例えば100日移動の単純移動平均線の数値が昨日1020円だったとする。本日の価格が1050円だったとする。さて、本日の移動平均値はいくらか、計算出来るか?

■「今度はひっかかりませんよ。出来ないですね。昨日から99日間の価格データが全部揃わないと計算出来ません。」

□なるほど。

ところが指数平滑移動平均線だったら計算出来るのだよ。
( 1020円×99 + 1050円×2 )÷ 101
とね。

■「それでいいんですか?」

□昨日までの価格は昨日のEMAで置き換える。本日の価格は2倍してウェイトを置く。これがEMAの考え方。だから、100日EMAだったら昨日のEMAを99倍する、50日EMAだったら昨日のEMAを49倍する。そして本日の値を2倍して合計し、それを前者は101で、後者は51で割ればいいんだ。どうだ難しくないだろ?

■「なんかそんな気がしてきました。不思議なものですね。

でも講師に教えてもらった計算式と、一番最初に計算式として教えてもらった小難しい計算式と全然、似ても似つかないんですけど。どちらが正しいですか?」

□これだね?


■「はい。」

□・・・・それが同じなんだよ、どちらも。 こちらを見てごらん。



□数式が並んでいるのでとっつきにくいかもしれないが、計算は中一レベルだ。しっかりと確認してほしいぞ。

■なるほどなるほど。

□どうだ?最後の1行は昨日のEMAをN-1個並べ、今日の価格を2倍にし、それをN+1で割っている。5日移動を例にすると、昨日のEMAを4つ並べ、本日の価格を2倍し、その合計を6で割るということ。つまり、私が説明した手法だ。

■「すごい。とても同じと思えませんでしたが、同じなんですね。」

□EMAは、単純移動平均より大きく前進したテクニカル指標なのだ。そして・・・・昨日のEMAより今日の価格が上であれば、EMAは上昇する。昨日のEMAより今日の価格が下であればEMAは下落する。ここら辺もSMAの欠点を克服している。

■「必ずですか?」

□必ずだ。上記の図の1行目をじっくりと眺めてごらん。最後の
( P-EMAy )
の部分で本日の価格と昨日のEMAとを比較している。そしてその前にある
2 ÷( N+1 )
というのがちょっと難しいが『平滑定数』と言って、最近の値段にどれくらいウェイトを置くかのパラメーター。そこで計算したものを昨日のEMAにプラスマイナスするというのがこの式。

ということで・・・昨日のEMAより今日の価格が上であれば、今日のEMAは必ず上昇する。昨日のEMAより今日の価格が下であれば今日のEMAは必ず下落する。

■「なるへそー。」