第11回、移動平均線 その7、『 指数平滑移動平均線の重要性 』

□『それだけではわからない!』というのが正解。

■「ひっかけ問題だ。汚い!」

□汚くないぞ。これは単純移動平均線の本質論につながる。例によって5日移動平均線を例にとる。
1日目の値 A
2日目の値 B
3日目の値 C
4日目の値 D
5日目の値 E
6日目の値 F

とする。5日目の移動平均は
( A+B+C+D+E )÷ 5
そして6日目の移動平均は
( B+C+D+E+F )÷ 5
だよな?

この二つをよおく見比べてくれ。どこが変わったのだ。

■「そうか。Aが無くなりFが加わったんですね。」

□そゆこと。これ当たり前じゃんと思っている読者が多いだろうが、さて、次のことに気がついているだろうか

単純移動平均線が上向くかどうかは、『今日の価格が昨日の移動平均線の値より大きいかどうか』
ではなく、
『今日の価格が消えていったn日前の価格より(上記ケースではFがAより)大きいかどうか』
なのだ。

□テクニカル分析の世界ではこのことをこう解説されている。
『移動平均線が上昇するかどうは二つの要素がある。
ひとつは、今日の価格が高いか低いか。
もうひとつは、消えていくn日前の価格が高いか低いか。』
ちなみにn日前の価格が高かった場合は、移動平均線を下降させる要素となり、n日前の価格が低かった場合は移動平均線を上昇させる要素となる。


【重要】 単純移動平均線の動き(上昇・下落)は、 『今日の価格が消えていったn日前の価格より大きいかどうか』で決まる!
■なるほど。 □つまり、本日大きく価格が上昇しても、たまたま消えていくAの方がさらに高ければ移動平均線は下がる。ここで単純移動平均線を使った分析は騙しが入りやすい。 ■「うーん、なんか奥が深いですね。テクニカル分析の『奥の細道』って感じです。」 □たとえがよくわからないが、まあいい。 1と2の問題をクリアするためにプロのテクニシャンはEMAを使う。 ■「せっかく単純移動平均線をあれだけ勉強してきたのに駄目じゃないですか。」 □そんなことはない。実は結果として出てくるシグナルに関しては単純移動平均線の方が有効という場面もある。単純移動平均線が全く駄目だというわけではない。要は使い方。 しかし、一般の日本人のようにEMAが難しいから単純移動平均線を使うというのでは駄目だ。 正しく理解した上で使いわける。これがテクニシャンのあるべき姿だ。 では、これからあらためて指数平滑移動平均線(EMA)を説明するぞ。