第9回、移動平均線 その5、『 移動平均線の複数使い 』中編

□たよりないがしようがない。では今度はちょっと難しいぞ。移動平均線の2本使い。価格と中期線(例、20日線)と長期線(例、40日線)のある日の関係だ。この図を見て、この40日間の価格の動きを見抜いてごらん。

■「え?そんなこと出来るんですか?この3点だけで?シャイロック・ホームズじゃあるまいし。」

図A1図B1

□シャイロック・ホームズはともかくとして移動平均ソムリエなら出来るはず。

■「ソんなのムリエ。」

□ガックシ。何をだじゃれでごまかしてる。ではムサシ君は降参ということで、・・・解答をお見せしよう。これが上図からわかる過去40日間の値動きだ。

図A2図B2

■「いやいや講師、こんなことがその3点の並びだけでわかるわけないじゃないですか。明智小五郎じゃあるまいし・・・。」

□ま、探偵にはわからないだろうが、・・・超一流のテクニシャンならわかる!

■「テクニシャン!?・・・なんて素敵な響き。早くそう呼ばれたい。」

□ゴホン。言っとくけど、テクニカル分析の使い手のことだからね、テクニシャンって。

話を進める。この3点も先ほどと理屈は同じ。まず図A1の長期線と価格の位置関係を見てごらん。長期線(過去40日の平均)が下にあり、価格が上にある。ということは40日間の大きな流れとしては上昇トレンドだ。ところが中期線(過去20日の平均)は価格の上にある。ということは最近20日を考えると、下降トレンドということがわかる。

つまり、大きな流れで上昇トレンドだったものが、最近下降に転じて、現在に至るということだ。つまり下の図A2だ。

■「なるほど。名推理です。これから明智小次郎講師と呼ばせてください。」

□呼ばなくていいから。これはね、誰でもわかるのだよ。次はムサシ君も考えてごらん。図B1で、まず長期線と価格の関係を見てごらん。何がわかる?

■「えーと、40日平均が上にあり、価格が下にありますね。ということは過去40日の大きな流れとしては・・・下降トレンドということがわかりますね。」

□そゆこと。今度は中期線と価格の関係を見てごらん。何がわかる?

■「えーと、・・・20日平均が下にあり、価格が上にありますね。ということは直近20日の流れとしては・・・上昇トレントということがわかります!」

□いいぞ。・・・ということは、総合的に見ると?

■「長期的に下降トレンドだったものが、・・・直近上昇トレンドに変わりつつあり、現在に至ると。」

□正解!つまり図B2だ。

■「なあああああああるほど。すごおおおい。移動平均線のある日の位置関係を見ただけで、過去40日間の流れがわかっちゃったわけですね。ひょっとしたら僕、金田一耕助より、名探偵コナンよりすごいかも。」

□名探偵の名前を次から次へあげるな。それが本当の移動平均線の使い手だ。

■「講師、ひょっとしたら、講師があの伝説の移動平均線使いでは?」

□知らん知らん。

■「満月の日になると、口笛を吹きながらどこからともなくやってくるという男、右手には移動平均線チャート、左手には短波ラジオ、ひとたびその男が移動平均線を見れば、読めない相場などないという伝説の男ってひょっとして・・・。」

□俺じゃないから。そんな伝説聞いたこともないし。

が、ムサシ君、伝説はないが、・・・極意ならあるぞ。『移動平均線大循環分析』、聞いたことないか?

■「ありません。」