ドル円は111円を割り込む 北朝鮮への警戒感も=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 ドル円は一時111円を割り込んでいる。米株が堅調に推移していることから買い戻しも見られているものの上値は重い。日本のTBSテレビが「政府が北朝鮮の弾道ミサイルの発射準備とみられる信号を感知し警戒を強めている」と報じている。信号は27日に捕捉されたが、現在のところ特異な兆候はないという。この報道を受けて円高の動きもドル円を圧迫している模様。

 きょうから感謝祭明けの本格的な取引が始まっているが、先週のドル売りの流れを引継いでいる。米税制改革法案に対する不透明感が依然として根強い。米税制改革法案は米上院に協議が移っているが、与党共和党がまとまり切れないでいるようだ。上院の場合、共和党は与党とはいえ議席は100議席中52議席となっており、数名が造反すれば可決できない。既に造反の意向を示している共和党議員もおり年内に成立させることができるのか非常に不透明な情勢。例え成立させることができたとしても上下両院で法案の内容が異なるため、更に両院間で擦り合わせる必要がある。

 米上院共和党は明日28日に開く昼食会にトランプ大統領が出席し税制改革について協議すると発表した。米税制改革法案はトランプ政権の目玉政策でもあるだけに法案成立は政権維持のためには絶対条件だ。

 ドル円はきょうの下げで200日線を完全に下放れする動きとなっている。9月から11月初旬にかけての上昇波のフィボナッチ50%戻しが111円ちょうど付近にきているが、その水準を一時下回った状況。目先は同フィボナッチの61.8%戻しが110円台前半にあり、その水準を試しに行くか警戒される。

 ユーロドルは序盤に買いが強まり一時1.1960ドル近辺まで上昇した。ただ、その後は急速に戻り売りに押されており、現在は1.19ドルちょうど付近で推移している。ドイツ国債の利回りが下げておりユーロを圧迫している。

 米税制改革法案への不透明感もある一方でユーロのほうもドイツの政局が依然として不安定だ。メルケル首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)はきょう、幹部会を開いており、第2党の社会民主党(SPD)との大連立に向けて交渉を始める方針を決めた。メルケル首相は会見で「ドイツで安定した政権をつくることが大切。SPDとの話し合いに応じることにした」と語った。ただ市場では、いずれにしろ連立政権が誕生し再選挙は回避されるとの楽観的な見方が優勢だ。

 週内に心理的節目の1.20ドル台に再び上昇するか注目されるが、1.20ドル付近までにはオプション絡みなど売りオーダーも多数観測されている模様。9月につけた年初来高値は1.2090ドル付近。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
 

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