7日からの週は、夏枯れ相場の様相を呈するなかで、円買いの動きが優勢だった。米国と北朝鮮が非難合戦を繰り広げており、地政学リスクが高まったことが背景。夏季シーズンで取引参加者が少なく、ポジション調整の動きが増幅された面もあった。前週末の強い米雇用統計を受けた動きは一服しており、金曜日の米消費者物価指数待ちのムードも広がった。その消費者物価指数だが予想を下回ったことでドル売りが優勢となり、ドル円は一時108円台まで下落している。 (7日) 東京市場は、小動き。ドル円は110円台後半で値幅は30銭程度の膠着相場。先週末の米雇用統計では雇用者数の伸びや賃金が前月比で予想を上回ったものの、金融市場での米追加利上げ確率の上昇は小幅に留まっている。夏季休暇シーズンであることも値動きを鈍らせた。ユーロドルは1.18ちょうど近辺での揉み合い。豪ドルは強含み。資源価格の上昇に反応している。豪ドル円は88円ちょうど近辺まで上昇。 ロンドン市場では、ややドル買いが優勢。新規材料に欠けるなかで、米雇用統計後のドル買い圧力が残った形。ドル円は110.89レベルまで高値を伸ばした。ただ、オプション関連の注文が値動きを抑制していると観測された。ユーロドルは1.1775近辺まで下落後、1.1814レベルまで反発。方向感に欠ける取引はオプション関連注文の影響とみられた。資源国通貨は上値が重い。ロンドンタイムに入り、原油先物が反落したことに反応。 NY市場は、小幅な値動きに終始した。ドル円は110円台後半で値動きは20銭程度。きょうは主要な米経済指標の発表もない中、先週末の強い米雇用統計の流れを引継ぎ、ドル売りは一服している。ただ、市場が注目している年内利上げについては市場の見方は分かれており、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは12月利上げの確率は半々といった水準。ユーロドルは1.17台後半で推移。ポンドはNY時間に入って売りが優勢となり、対ドルでは1.30台前半、対円では144円台前半に値を落とした。先週の英MPC後のポンド売り圧力は根強い。 (8日) 東京市場は、ドル売りがやや優勢。ドル円は110.54近辺まで弱含み。ユーロドルは1.1824近辺まで戻りを試した。ただ、ドル円の値幅は30銭に満たず、夏季休暇シーズンで値動きは枯れている。人民元建て中国貿易統計で、輸入の伸びが鈍化したことが重しとなり、豪ドルは堅調推移も次第に対円・対ドルで伸び悩んでいる。 ロンドン市場は、円買いの動きが再燃。ドル円は110円台後半からジリ安となり、取引中盤には110.34近辺に本日安値を広げた。クロス円が総じて下落しており、ユーロ円は130.35レベル、ポンド円は143.65レベルに本日の安値を更新。欧州株は揉み合い、NY原油先物は49ドル台半ばで高止まり。円高材料はほとんどみられず、調整中心だったもよう。 NY市場は、ドル円が上下動。手掛かり材料に乏しい中、6月の米求人件数(JOLT)が616.3万件と予想を上回り過去最高となったことが材料視されていた。賃金上昇につながることが期待された。ドル円は110円台後半へと上昇。ワシントンポスト紙が、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な小型核兵器を開発する能力があるとの分析を伝えたことや、南アのズマ大統領の不信任案が否決されたことなど政治的な話題もあり、また、米3年債入札が好調だったこともドル円を圧迫した。ドル円は序盤の上げを完全に失い110円台前半に下落。 (9日) 東京市場では、円高が進行。トランプ米大統領が北朝鮮の挑発外交を威嚇すると、北朝鮮はグアム攻撃を示唆して応戦するなど、両国間で舌戦が激化している。地政学リスクを受けてドル円は109.75近辺まで下落。夏季休暇シーズンでクロス円のロングを調整する時期と重なったことから円高が勢いづいた。ユーロ円は128円後半、ポンド円は142円半ば、豪ドル円は86円前半まで下落。豪ドルには、豪金融当局者が物価・景気見通しを交えて豪ドル高をけん制していることも重石。中国消費者物価指数(CPI)や同生産者物価指数(PPI)は材料視されていない。 ロンドン市場は、円高の動きが継続。米朝の地政学リスクが欧州にも飛び火している。欧州株が下落する中で、一段とリスク回避の円買いが入った。ドル円は109.66レベルまで安値を広げた。クロス円も総じて円高方向への動き。ユーロ円は128.61レベル、ポンド円は142.48レベル、豪ドル円は86.29レベルまで下落。逃避通貨としてスイスフランにも買いが入った。対ドルではまちまち。ユーロドルは1.1720-60レンジでの上下動。前日のNY後半に下落した後の安値圏で推移。ポンドドルは1.30ちょうどを軸に上下動。 NY市場では、北朝鮮リスクが継続するなかでドル円は買い戻し。ドル円は心理的節目の110円を割り込み一時109.55付近まで下落していた。引続き上値の重いドル円だが、明日は米生産者物価、金曜日には米消費者物価の発表を控えてポジション調整が入った。110円台まで戻している。北朝鮮に関しては最悪の事態までは想定されていないが、テールリスクとして常に意識されている。ユーロドルは序盤に1.16台に下落する場面があったが、その後は1.17台を回復。 (10日) 東京市場は、北朝鮮リスクの根強い円高圧力に。ドル円は110円ちょうど近辺での揉み合い。ユーロ円の戻りは129円台半ばまで。ポンド円は143円台前半から142円台後半へ失速。ドル円・クロス円ともにリスク回避の円買いがくすぶっている。日経平均はマイナス転換。NZドルは軟調。政策金利据え置きで一時買われた後は、売りが優勢。マクダーモット総裁補が、「NZドルは下向きの調整が必要」と述べたことが売りにつながった。 ロンドン市場は、円買いが優勢。欧州株や米株先物が軟調に推移しており、米朝の地政学リスクの影響は根強い。ドル円は110円ちょうど近辺でもみ合ったあと、109.73レベルまで下押しされた。クロス円は総じて軟調。ユーロ円は129円近辺から128.60近辺まで下落。ポンド円は英鉱工業生産が上振れしたことがポンド買いを広げたが、142円台前半からの戻りは142.80近辺までに限定。東京時間の143円台には届いていない。NY原油先物が上昇するなかで、カナダ円は86円台前半へと下落。NZドル円は78円台後半で上値が重い。 NY市場はドル円の売りが加速し、ストップを巻き込んで109円台前半まで下落している。朝方発表になった米生産者物価(PPI)が予想を下回りインフレ鈍化への懸念を改めて強めているほか、米株が大幅安となったこともドル円を圧迫した。 (11日) 東京市場は山の日で祝日。 ロンドン市場は、序盤に北朝鮮問題への警戒感が強いなか、欧州株の下落を受けてリスク回避の動きから円が買われたが、その後円買い一服となった。ドル円はロンドン序盤に欧州株の下落を受け、アジア時間に付けた6月14日以来の安値の108.91に一時顔合わせしたが、割り込むには至らず、その後は下げ渋った。ユーロ円、ポンド円はロンドン序盤に今日の安値を広げる動きとなり、ユーロ円は7月6日以来の安値水準となる128.05に一時下落、ポンド円は6月23日以来の安値水準となる141.26まで一時下落したものの、その後はユーロ円、ポンド円とも値を戻した。 NY市場はドル売りが優勢となった。朝方発表の米消費者物価(CPI)が予想を下回る内容だったことがドルを圧迫した。年内の米利上げ期待が後退し、ドル円は一時108.75付近まで下落する場面も見られた。
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