【これからの見通し】米6月利上げ見通しは確立も、その後が問題 米6月利上げ観測は市場でほぼ織り込まれてきている。次の利上げ時期や、年内あと何回の利上げができるのかが今後の焦点となっている。ただ、足元での米債利回り動向は緩やかな低下傾向を示しており、今後の強い利上げ見通しを反映しているとは言い難い状況となっている。ドル相場の流れも、特に5月に入ってからはドル安傾向を強めており、金利面からのドル相場へのサポートは後退してきている。 今週の焦点は金曜日の米雇用統計となっており、雇用増や失業率の低下はほぼ完全雇用状態との見方もでてきている。一方で、利上げ見通しに直結するインフレ動向がややネック。直近の4月PCEデフレータの伸びは前年比1.7%、同コアデフレータは1.5%とインフレ目標2%に向けて足踏み状態となっている。雇用統計においても賃金上昇といったインフレ関連の項目に注意が向けられそうだ。 きょうはMBA住宅ローン申請指数(26日までの週)、シカゴ購買部協会景気指数(5月)、中古住宅販売成約指数(4月)などの米経済指標が発表される。また、NY時間午後には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される。ただ、インフレ関連の手掛かりは少なそうだ。米金融当局者発言は、カプラン・ダラス連銀総裁の講演が予定されている。 ロンドン時間にはドイツとユーロ圏の失業率(5月)、ユーロ圏消費者物価指数・概算速報値(5月)などが発表される。5月以降のドル売りの流れの一端はユーロドルの上昇が担っており、仏大統領選を無事に通過したことによる政治リスクの後退が背景にある。また、ECBの出口戦略に関する思惑も見え隠れしており、その面からはユーロ圏のインフレ統計が注目されそうだ。また、タカ派のラウテンシュレーガーECB専務理事の講演も予定されている。ドル相場が決め手に欠けるなかで、ユーロの動向が市場を牽引する可能性もありそうだ。 みんかぶ「KlugFX」 松木秀明
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