【来週の注目材料】2会合ぶり、5回目の利下げへ=英中銀スーパーサーズデー

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【来週の注目材料】2会合ぶり、5回目の利下げへ=英中銀スーパーサーズデー

 イングランド銀行(中央銀行)が7日に金融政策会合(MPC)の結果を公表します。

 英中銀は世界的な物価上昇を受けて政策金利を5.25%まで引き上げた後、昨年8月1日に利下げを開始。据え置きを挟んで11月、据え置きを挟んで2月、据え置きを挟んで5月と、その後は2会合毎の利下げを実施してきました。英中銀は年8回の会合のうち、2、5、8、11月の会合で金融政策報告を発表、総裁が会合後に会見を行うスーパーサーズデーとしています(スーパーサーズデー以外では総裁の会見がありません)。基本的にはこのスーパーサーズデーに合わせて利下げを実施する形となっています。これまでスーパーサーズデー以外の会合で政策金利を変更したことはありますが、総裁会見や金融政策報告で変更に至った状況を説明できるスーパーサーズデーのほうが変更がやりやすいと市場も認識しています。
 
 前回6月の据え置きを経て、スーパーサーズデーに当たる今回8月7日の会合でも利下げが期待されています。2会合毎に0.25%の利下げを続けてきた英中銀ですが、市場予想通りの据え置きとなった前回6月会合では9人中3人が利下げを主張しました。うち2名は0.25%利下げとなった5月の会合で0.5%の大幅利下げを主張したディングラ委員とテイラー委員です。さらに穏健なハト派として知られるラムズデン副総裁が前回は利下げ主張に回りました。なお、ディングラ委員は2022年の委員就任以来、出席した23回の会合の中で、実際の決定と同じ意見を示したのがわずか5回。実に18回の会合で実際の決定よりも低い金利水準を主張した超ハト派として知られています。

 今回の会合での利下げ自体はほぼ確実と見られます(5月会合のように、5対2対2で、ディングラ委員とテイラー委員が0.5%利下げを主張、ピル理事とマン委員が据え置きを主張となる可能性はありますが、決定自体が崩れることはなさそうです)。市場の注目は金融政策報告などで示される今後の姿勢です。
 昨年8月の利下げから、今回下げたとして5回目、計1.25%の利下げとなりますが、金利水準的には4.00%と米国の4.25-4.50%より低いものの、経済的な結びつきの強いECBの2.00%に比べるとかなり高い水準です。英産業連盟(CBI)などの見通しをみると、英国の産業界は段階的な利下げ継続を期待する姿勢を見せています。ただ、英国のインフレターゲットの対象である消費者物価指数前年比は最新6月分が3.6%と、ターゲットを大きく超え、許容上限とされる3.0%も3カ月連続で上回っている状況。昨年一時1.7%を付けるなど、物価が落ち着いた状況から、かなりの反発を見せています。前回5月の金融政策報告では今年第4四半期でのインフレ見通しを3.3%と3%超えの状況が続くという予想を示していました。今回のレポートでどのような予想が示されるかが注目されます。第2四半期時点で5月の予想+3.4%を上回るペースでの物価上昇となっており、第4四半期のインフレ見通しも上方修正されるようだと、現状の2会合毎の利下げのペースが、より慎重なものとなる可能性があります。一方で2023年下半期のテクニカルリセッション(2期連続マイナス成長)からは少し回復も、昨年第3四半期が前期比ゼロ%成長、第4四半期が+0.1%、今年第1四半期になってようやく+0.7%と少し戻りつつあるとはいえ、前年比では+1.3%とかなり厳しい状況が続く英経済成長動向を考えると、利下げ継続を期待する動きも見られます。5月時点では現状同様に低い成長を見込んでいましたが、今回のレポートでどのような変化が見られるかが注目です。

  現在のところ英短期金利市場では今回の利下げの後、9月の据え置きを経て、11月6日に追加利下げを行う可能性を60%程度と見ています。この見通しに変化が見られるようだとポンドが上下しそうです。

 その他の材料としては、8日に日銀金融政策決定会合(7月30日、31日開催分)の主な意見が公表されます。日銀会合は議事要旨の公表が遅い(先週の会合の議事要旨は9月25日公表)ため、この主な意見が注目されます。今回の会合の展望レポートで物価見通しが大きく引き上げられたものの、植田総裁は追加利上げに慎重な姿勢を示しました。会合全体がそうした慎重意見で一致していたのか、それとも利上げに向けた姿勢を強めるメンバーがいたのかなどが注目されます。

 日本の材料としては同じく8日に自民党の両院議員総会が開催されます。石破首相の出処進退がどうなるのかなどが注目されます。

 米国は今週それほど目立った材料がないですが、5日のISM非製造業景気指数などには注意が必要です。
 
MINKABUPRESS 山岡

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