プラチナ週間展望=上げ一服、米金融当局者のタカ派姿勢で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月27日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2024 年 10 月限  11 月 20 日〜 11 月 24 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金           9,605     9,610 (24)    9,383 (21)      9,562         -42
  銀           115.3     115.3 (24)    115.1 (22)      115.3         0.0
 プラチナ       4,282     4,431 (24)    4,245 (21)      4,349         +63
 パラジウム     4,900     5,000 (24)    4,900 (20)      5,000       +100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        24  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,023.5     +18.7   | ドル・円    149.27      1.30 円高
  銀       ( 3) 2,469.2     +49.1   | 日経平均  33,625.53       +40.33
 プラチナ   ( 1)   936.9     +35.2   | NY原油 ( 1)  75.54        -0.50
 パラジウム ( 3) 1,084.00    +22.00  |* ドル・円は 15時15分現在、原油は 24日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しや株高が支援要因、とし
た。
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しが支援要因になったが、
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でタカ派の見方が示されたことを受けて上げ
一服となった。現物相場は9月20日以来の高値942.65ドルを付けた。プラチナ
先限は7日以来の高値4431円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は7日以来の
高値1093.50ドルを付けた。
 米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが予想以上に鈍化したことを受けて米
連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しが強い。ただ米連邦公開市場委員会(F
OMC)議事要旨によると、当局者は今後の利上げについて慎重なアプローチを取るこ
とが可能であり、インフレ低下の進展が不十分であることを示す情報が入ってきた場合
にのみ、金利を引き上げる必要があるとの見解で一致した。米金融当局者のタカ派姿勢
に変わりはなく、2000ドル台で利食い売りが出た。また米新規失業保険申請件数は
20万9000件と前週から2万4000件減少した。事前予想の22万6000件を
下回った。労働市場が緩やかに減速しているとの見方が強いが、予想以下となったこと
で利下げ期待が後退した。11月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値は61.3と
速報値の60.4から上方修正された。前月は63.8。1年先の期待インフレ率は
4.5%と速報値の4.4%から上方修正された。消費者のインフレ期待が上昇し、米
FRBは高金利を長期間維持するとみられている。
 11月のドイツのHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.1で、
10月の45.9から上昇し4カ月ぶりの高水準になった。事前予想の46.5を上回
った。11月のユーロ圏のHCOB総合PMI速報値も47.1と前月の46.5から
上昇し、事前予想の46.9を上回った。景気後退が見込まれているが、事前予想を上
回ったことで底堅く推移するとみられた。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、
ECBには一連の利上げ後のインフレ動向を評価する時間があるが、まだ勝利は得られ
ておらず、短期的なデータの流れに基づく賭けは時期尚早と述べた。
【ロンドンと南アのプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで12.58トン
(前週末12.78トン)に減少、ニューヨークで30.62トン(同30.62ト
ン)と変わらず、南アで11.38トン(同11.39トン)に減少した。またパラジ
ウムETFの現物保有高はロンドンで3.38トン(同3.35トン)に増加、ニュー
ヨークで5.86トン(同5.86トン)、南アで0.33トン(同0.33トン)と
変わらずとなった。ロンドンと南アのプラチナETF残高が減少した。米連邦準備理事
会(FRB)の利上げ停止見通しが強いなか、買い戻し主導で上昇したが、景気減速懸
念もあり、戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)
の建玉明細報告によると、11月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の
取組は3996枚売り越し(前週6958枚買い越し)に転じ、パラジウムの売り越し
は1万1230枚(同1万1023枚)に拡大した。
【プラチナは2年連続の供給不足見通し】
 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によ
ると、2023年は33トンの大幅な供給不足が見込まれた。需要が前年比26%増の
254トンとなる一方、供給は同3%減の220トンになると予想された。また
2024年は11トンの供給不足で2年連続の不足が見込まれた。需要は同6%減の
238トン、供給は同3%増の227トンと予想された。WPICのトレヴァー・レイ
モンドCEOは「今年の100万オンス(31トン)を超える記録的な不足予想に続
き、プラチナ市場は2年連続で不足に直面している。このことは、感覚とは裏腹に多様
な需要に支えられ、経済面の逆風にもかかわらず、プラチナ市場が底堅いことを示して
いる。2023年にはプラチナは大規模な工業用需要を受けて過去最高水準に達したほ
か、自動車生産台数の力強い回復、そして最も重要なこととして、パラジウムの代替と
してのプラチナ需要の継続的な拡大の恩恵を受けてきた」と述べた。また「自動車生産
台数と販売台数の増加が続き、在庫が消滅すれば、自動車メーカーのより一般的なプラ
チナ購入パターンが復活し、それによって市場が一段と引き締まってプラチナ価格に上
昇圧力がかかる可能性がある」とされた。
当面の予定(イベント・経済統計)
27日 中国工業利益 2023年10月(国家統計局)
    米新築住宅販売 2023年10月(商務省)
    建玉明細報告(CFTC)
28日 米ケース・シラー住宅価格指数 2023年9月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2023年11月(カンファレンスボード)
29日 政策金利公表(NZ準備銀行)
    独消費者物価指数 2023年11月速報(連邦統計庁)
    米国内総生産 2023年7-9月期改定値(商務省)
    米卸売在庫 2023年10月速報値(商務省)
    米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
30日 鉱工業生産指数 2023年10月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2023年10月速報(経済産業省)
    中国製造業購買担当者景況指数 2023年11月(中国物流購買連合会)
    中国非製造業購買担当者景況指数 2023年11月(中国物流購買連合会)
    ユーロ圏消費者物価指数 2023年11月速報(EUROSTAT)
    ユーロ圏雇用統計 2023年10月(EUROSTAT)
    米個人所得・支出 2023年10月(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2022年11月(シカゴ購買部協会)
    米中古住宅販売仮契約指数 2023年10月(全米不動産協会)
 1日 労働力調査(失業率) 2023年10月(総務省)
    中国製造業購買担当者景況指数 2023年11月(財新)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2023年11月確報(Markit)
    米製造業景況指数 2023年11月(ISM)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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