【前週のレビュー】目先はどこまで下値余地があるのかが注目されるが、全値押しがあ れば、米FOMC声明文が公表される13日の新月辺りに底入れするシナリオが描け る。また13日にはOPEC、14日にはIEAの月報がそれぞれ発表されるとした。 【NY原油は新月底から反発基調】 ニューヨーク原油1月限は結局、納会前にもう一段安が仕掛けられて直近安値は13 日の67.71ドルまであった。しかし今年の安値から高値までの上昇の「往って来 い」となるような全値押し(1月限ベースで64.37ドル、期近つなぎ足ベースで 63.57ドル)までは下落せず、直近の高下である11月16日の安値72.37ド ルから30日の高値79.60ドルまでの上げ幅のほぼ1.618倍押し(67.90 ドル水準)で下げ止まった形。その後急反発しており、前回の当欄で指摘した「新月 底」のシナリオ通りの展開となっている。 今後、年内クリスマスシーズンに入り商いは薄くなるが、目先はどこまで上値を試す のかが焦点となる。1月限は19日の納会に迎えるため、2月限が指標限月となるが、 11月30日の高値79.67ドルから13日の安値67.98ドルまでの下げ幅のす でに38.2%戻し(72.45ドル水準)を達成していることで、目先の上値メドは 半値戻し(73.83ドル水準)、61.8%戻し(75.20ドル水準)などにな る。 材料的には、今回は新月に実施されて原油相場の底入れのタイミングになる可能性を 指摘した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文公表だが、来年の利下げ開始が示 唆されて米景気悪化懸念が後退してドル安が大きく進展したこともあり、恰好の買い戻 し材料となった。水準的にも今回2度の70ドル台割れから下値反発の強さを感じさせ る動きとなったことで、70ドル台割れには割安感が強いことを伺わせている。 なお13日と14日に石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA) の月報が発表されたが、後述するように、前者は2023年、2024年ともに世界石 油の需要の伸びを据え置き。後者は2023年をやや下方修正したものの、2024年 はやや上方修正した。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに上昇して、3万7000ドル 台に乗せて最高値を更新した。引き続きどこで天井感が出て来るかが年末に向けての焦 点となりそうだ。 ドルインデックスは完全に底割れ模様となり、101ポイント半ばまで急落してお り、顕著なドル安傾向となってきた。 原油相場にとってはともに引き続き追い風と言える形。 【OPECとIEA月報】 発表物を見ると、まず13日のOPEC月報では、2023年の世界石油需要の伸び は日量246万バレル、2024年は同225万バレルとそれぞれ前月から据え置かれ た。 2024年の見通しについて、「慎重ながらも楽観的だ」と指摘して、12月の原油 価格下落について、誇張された需要懸念が原因としている。 14日のIEA月報については、2023年の世界石油需要の伸びは同230万バレ ルと前回から9万バレル下方修正、2024年は同同110万バレルと前回から13万 バレル上方修正された。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油先限は下降中のボリンジャーバンドの−2シグマ(6万2210円辺り)を 挟んだ下値もみ合いが続き、6万1000円の節目がひとまず下値支持となっている。 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばい。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油2月限は13日に67.98ドルの安値を付けて、下降中のボリン ジャーバンドの−2シグマ(67.99ドル辺り)をタッチ後に反発して、−1シグマ (70.98ドル辺り)を大きく上抜けた。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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